米政権が2032年までのEV比率目標大幅に引き下げ、大統領選が影響か

David Shepardson Joseph White

[ワシントン 20日 ロイター] - バイデン政権は20日、新車販売のうち普通乗用車に占める電気自動車(EV)の比率を2032年までに67%とするとしていた従来の目標を35%に引き下げた。11月の大統領選の鍵を握るミシガン州などで、厳格な温室効果ガス排出量基準とそれに基づく早急なEV普及の促進に対する反対の声が強いことが影響したとみられている。

米環境保護局(EPA)は、こうした目標修正に伴って自動車メーカーがハイブリッド車(HV)を通じて排出量基準を達成できる余地を大きく広げることができる規則を採用。また燃費向上のためのさまざまな技術を新たに認めた。

EPAのリーガン長官は記者団に、新しい枠組みの下でもEPAの当初案と同じような排出量削減が達成され、より積極的なEVへの移行が実現されると強調した。

これらの枠組みが導入された背景には、再選を目指すバイデン大統領が直面している政治情勢がある。民主党候補指名が確実なバイデン氏と、共和党候補となりそうなトランプ前大統領の双方にとって、ミシガンやウィスコンシン、ペンシルベニアといったいわゆる激戦州を制しない限り勝利は見えてこないが、そうした地域では自動車業界の労働者がEVへの移行で雇用を奪われるとの懸念が広がっている。

トランプ氏は繰り返し、バイデン政権のEV化政策を批判している。

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