「湖池屋vsカルビー」両社業績、株価ともに好調、投資家の選択は?

2024年9月、ポテトチップス界のツートップ、カルビーと湖池屋について紹介しました。

参考記事:カルビーと湖池屋…ポテトチップス界の2強、株価の動きに大きな差があるのは何故なのか?

当時は、株価上昇率で比べると湖池屋が圧勝していましたが、この半年間で、カルビーが猛追しております。

画像:TradingViewより「2023年9月の比較チャート」

画像:TradingViewより「2024年3月の比較チャート」


湖池屋、カルビーの決算

コンビニのポテトチップス売り場の充実を見ればお分かりのように、国内のポテトチップスの売り上げは引き続き好調で、両社とも業績は文句なしです。あらためて両社の直近の決算を見てみましょう。

まずは湖池屋

画像:湖池屋「2024年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

2024年2月13日に発表された2024年3月期の第3四半期①売上高は40,470(百万円)、②前年比23.5%、③営業利益3,072(百万円)、④前年比193%。同時に記念配当を含む増配を発表。当初予定の65円から100円と大幅増額されました。営業利益の通期予想に対する進捗率は90.3%と高く、本決算発表前の上方修正があるんじゃないかと期待してしまいます。

実際、最新の会社四季報春号では、営業利益の通期予想は3,600(百万円)と会社予想の3,400(百万円)を上回っています。すでに今期は2回の上方修正をしていますが、それでもまだいける!といった感じです。

カルビーはどうでしょう。

画像:カルビー「2024年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

2024年2月6日に発表された2024年3月期の第3四半期①売上高は227,339(百万円)、②前年比9%、③営業利益23,715(百万円)、④前年比31.3%。10-12月のみを取り出すと、売り上げ、営業利益ともに過去最高という好決算。通期予想に対する営業利益の進捗率は91.2%。こちらも湖池屋同様に、会社四季報予想は営業利益28,800(百万円)と、会社予想の26,000(百万円)を上回っています。

カルビーは国内の製造販売事業部が、国内スナック菓子、国内シリアル食品、国内その他に分かれておりますが、やはり好調なのはポテトチップスを含む国内スナック菓子で、ポテトチップスは売上高の前年比10.6%増、じゃがりこ12.2%増となっています。

「うすしお」や「堅あげポテト」など定番品の売上増に加え、「ピザポテト」などの季節限定品の売上も堅調だったとのこと。さらに「じゃがりこ細いやつ」(ネーミングが絶妙!)も売れているようです。たしかに、SNSでも絶賛の声をたびたび目にします。それに加え、「じゃがポックル」などのお土産品が大きく伸長しおり、目下、文句のつけどころなしです。

カルビーは、10月31日の第2四半期決算発表のタイミングで上方修正しており、株価はそれをきっかけに上昇に転じ、第3四半期決算も好調だったため、さらに上昇の角度に勢いがつきました。

湖池屋、カルビーどちらにベットするべきか

さて、両社とも業績好調で、株価も堅調となれば、投資家としてはどちらにベットするべきでしょう。これはなかなか難しい問題です。

株価だけ見れば、湖池屋8,600円、カルビーは3,400円と、カルビーのほうが安いですが、投資をする上では、株価の安い高いではなく、今後、より上昇率が高いと思うほうを選ばなくてはいけません。ちなみに湖池屋は3月31日付で1株を2株に分割する予定ですから、カルビーとの株価の差は小さくなります。

株価の割安さを測るPERは、今期一株益予想で計算すると湖池屋23.1倍、カルビー23.7倍とほぼ同じ。PERは、株価の割安さを測る指標ですが、一方で、投資家からの期待値でもあります。数字が高ければ高いほど、投資家からの期待が高いと考えられますので、その点でも湖池屋とカルビーに対する期待はほぼ同程度といえるでしょう。

株価は、サプライズがあったときにぐいっと上昇します。進捗率から考えると、両社とも上方修正の可能性があり、それがサプライズニュースになり得るのですが、すでに株価には織り込まれているような気もします。おそらく投資家の目線は、来期に向いていますので、次回の本決算で新年度予想をどう出してくるかで株価の行方は変わりそうです。

短期的には、受給も株価に大きく影響します。信用取引における買い残高を売り残高で割った信用倍率を比べると、湖池屋は4.79倍、カルビーは0.74倍。信用取引では、買った場合は売り、売った場合は買いの反対決済を、基本的には半年以内に行わなくてはいけません。信用倍率が1倍を割れているというのは、信用買い残よりも信用の売り残のほうが多いため、近い将来では、買いの圧力が強くなるということです。

信用で売っている人は、株価が上昇すれば損をしますので、上がっていく局面では買い戻す人が増えます。カルビーはここのところずっと上昇していますので、信用で売っている人は気持ち穏やかではないでしょう。早く買い戻したいと思っているはず。買う人が多くなると、さらに株価が上がるので、ますます信用で売っている人は焦ります。そこでまた買い戻しが増えて、買いが買いを呼んで株価がさらに上がる。これを踏み上げと言いますが、それが起こりやすいのがカルビーです。となると、短期的にはカルビーのほうが有利かもしれません。

しかし、カルビーには不利となるファクターもあります。それは株主優待がないことです。湖池屋は100株以上の保有で2,500円相当の自社製品がもらえますので、3月の優待月には優待目的の買いも期待できます。3月限定で見れば、湖池屋有利でしょうか?

ここまでくるとあとはもう、どちらの商品が好きかというシンプルな問いになります。好きなほうを選べば、万が一、株価が下がったとしても納得感があるのではないでしょうか? いろんな理屈をこねまわしたとて、株式投資の真髄は、結局、自分が応援したい企業に投資することだと思います。2社のポテトチップスを食べてみて、自分が「好き!」と思ったほうに賭けてみてはいかがでしょう?

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