定年退職後の社会的な孤立が恐ろしいです。お金になり、人と交流できる仕事はないでしょうか?

シルバー人材センターとは

シルバー人材センターは、高齢者が働くことを通じて生きがいを得るとともに、地域社会の活性化に貢献することを目的として、「高齢者等の雇用の安定等に関する法律(※1)」に基づき、原則として市区町村単位に設置されています。シルバー人材センターは、基本的に都道府県知事の指定を受けた社団法人として運営されています(※2)。

全国のシルバー人材センターでは、68万人(男性約45万人、女性約23万人。令和4年度集計時点)を超える高齢者が活躍しています(※3)。

シルバー人材センターの会員として就業することにより、以下のようなメリットがあります(※4)。

__(1)就業することにより、社会参加でき、生きがいを得ることができる。
(2)一緒に仕事をすることにより、仲間づくりができる。
(3)能力に応じて就業することにより、健康を維持・増進させることができる。
(4)就業することにより、配分金や賃金を得ることができる。
(5)就業することにより、地域社会の活性化に貢献することができる。__

シルバー人材センターでできる仕事とは

シルバー人材センターでは、どのような仕事に、どのような形で就業することができるのでしょうか。

1.いろいろな分野の仕事

シルバー人材センターでは、以下のようなさまざまな分野の仕事に従事することができます(※4)。

__(1)受付、筆耕、あて名書きなどの事務分野
(2)販売員、集金、電気・ガスの検針などの折衝外交分野
(3)農園作業、草刈り、屋内外清掃などの一般作業分野
(4)施設、駐車(駐輪)場、空き家などの管理分野
(5)補習教室やパソコン教室の講師などの技術分野
(6)庭木の剪定、送迎車の運転、大工仕事などの技能分野
(7)家事援助、子育て支援、広報誌の配布などのサービス分野__

2.シルバー人材センターの就業システム

シルバー人材センターが実施する就業システムには、以下の3種類の形態があります。

(1)請負・委任による派遣
民間企業、一般家庭、公共団体などから、請負や委任の形で仕事を引き受け、シルバー人材センターが会員に仕事を提供する就業形態

(2)シルバー派遣
シルバー人材センター連合本部が労働者派遣法上の派遣元となり、会員がシルバー人材センターから派遣され、依頼先の企業などで就業する形態

(3)職業紹介
会員や地域の高齢者が、シルバー人材センターの紹介した企業などに雇用され、その企業などの雇用労働者として就業する形態

シルバー人材センターに入会するには

1.入会条件

シルバー人材センターに入会するためには、以下の条件を満たす必要があります(※5)。

__(1)原則60歳以上の、健康で働く意欲のある方
(2)シルバー人材センターの主旨に賛同する方
(3)入会の説明を受け、入会申込書を提出した方(理事会の入会承認が必要)
(4)定められた会費を納入する方__

2.住所地のシルバー人材センターを探す

シルバー人材センターは、基本的に市区町村ごとに設立されています。住所地のシルバー人材センターは、全国シルバー人材センター事業協会のホームページから検索することができます(※6)。

3.入会手続きから就業までの流れ

入会申し込みから就業までの流れは、以下のとおりになります(※7)。

__(1)住居地のシルバー人材センターに電話などで問い合わせる。
(2)入会説明会に参加し、入会を申し込む。
(3)理事会の承認を受け、会員登録後、年会費を納付する。
(4)仕事の提供を受け、就業する。
(5)配分金や賃金の支払いを受ける。__

4.会費

年会費はセンターごとに違いますが、年間1000円から3000円程度になります(※7)。

まとめ

シルバー人材センターでは、退職後も生きがいを持って地域の活動に参加できるように、さまざまな仕事を提供しています。定年退職後に地域から孤立することに不安を覚えている方は、居住地のシルバー人材センターの門を叩くことをお勧めします。

出典

(※1)e-GOV法令検索 高齢者等の雇用の安定等に関する法律
(※2)全国シルバー人材センター事業協会 シルバー人材センターとは
(※3)シルバー人材センター 契約金額・加入会員数・団体数の推移(全国)
(※4)シルバー人材センター 入会のしおり
(※5)全国シルバー人材センター事業協会 入会を希望される方は
(※6)全国シルバー人材センター事業協会 あなたのまちのセンター
(※7)東京都シルバー人材センター連合 会員になるには

執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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