茨城・つくば市議 報酬3割増案 市が提出 30年ぶり改定へ

つくば市役所=同市研究学園1丁目

茨城県つくば市は議員報酬を約3割上げる条例改正案を市議会3月定例会に提案し、22日の本会議で可決される見通しとなった。増額となれば30年ぶりで、額は水戸市に次いで県内2番目となる。つくばエクスプレス(TX)開通による人口増加などに伴う社会情勢の変化や議員の負担増に対応し、市は「適正な報酬額」としている。

つくば市人事課によると、月額報酬は議長が15万1千円増(27.6%増)の69万8千円、副議長が14万6千円増(30.4%増)の62万6千円、議員が13万7千円増(30.6%増)の58万4千円に引き上げる。

県のまとめによると、現在の同市の議員報酬額は、水戸、日立、ひたちなか、土浦に次ぐ5番目。増額が決まれば、水戸の59万円に次ぐ2番目となる。

引き上げ額は市特別報酬等審議会の答申に基づいて設定した。審議会は大学教員や弁護士、市民ら8人で構成。昨年3回開催され、12月に五十嵐立青市長に答申した。

TX開通や合併などに伴い、同市の人口は17万9954人(1994年)から25万6526人(2024年1月1日現在)に大幅に増加。この30年間で水戸市の26万8036人(同)に次ぐ県内2番目の規模になり、議員定数は同市と並ぶ県内最多の28人だ。審議会では「水戸市と同程度に報酬額を上げるべき」「仕事の重さに対して報酬が低い」など、人口規模や議員の仕事の負担に関する意見があり、答申では「県内人口上位3自治体(水戸、つくば、日立)の均衡を考慮した額へ増額が適当」と結論付けている。

他の自治体では議員のなり手不足の解消などを狙いに、19年に行方市(3万9千円)、20年に結城市(2万円)、東海村(2万円)などが増額に踏み切っている。つくば市議選は定数28人に対し、12年35人、16年38人、20年41人と、いずれも定数を大きく上回る立候補がある。市人事課の担当者は「なり手不足は切実ではないが、適格者を引きつけるためにも適正な改正が必要」と話す。

増額の背景には、審議会が長年にわたり開かれていなかった経緯もある。同課によると、市の審議会は01年を最後に開催が確認されていない。市人事課は「定期的に開催し、額の適正を見ていく必要がある」と話した。

改正案は総務文教委員会で、賛成多数で可決されている。

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