能登地震の復興支援、大分発「道の駅」の輪 客足戻らぬ駅から産品買い取り販売【大分県】

能登半島地震で被災した石川、富山両県の産品を販売する「道の駅みえ」の後藤節子駅長=1月、豊後大野市三重町
支援先の道の駅

 能登半島地震からの復興を支援する「道の駅」の輪が大分県発で全国に広がっている。被災地の石川、富山両県で客足の戻らない駅から産品を買い取り、各地で販売を続けて盛況を見せている。2016年の熊本・大分地震で、同じサポートをした道の駅みえ(豊後大野市三重町)が「現地の仲間や生産者を支えよう」と呼びかけたのがきっかけになった。

 「北陸の商品を棚に並べた先から、次々と手に取り購入してくれる。気持ちが本当にうれしい」。2月中旬、みえ駅長の後藤節子さん(58)は買い物客に感謝を述べた。

 売り場に設けたコーナーには、石川県で醸造した個性的なクラフトビール、富山県産ホタルイカの干物など、その時々で入荷した品が並ぶ。1月以降、数回にわたり計千点以上を現地から購入した。陳列すると、数日中には完売する。

 元日の地震発生を受け、後藤さんは「何かできないか」と1週間後に動き出した。所属する全国女性駅長会の加藤はと子会長(49)=新潟県燕市=に相談し、会の交流サイト(SNS)グループで今回のサポートを提案した。新潟、岡山、千葉、高知など6~7県の約10施設が賛同した。

 能登半島にある道の駅のうち、建物や従業員への影響が比較的少なく、営業再開が可能な8カ所に自ら連絡を取り、サポートの意向を打診した。「開けても客は少ないのでぜひ」と、石川県羽咋市の「のと千里浜(ちりはま)」、富山県高岡市の「雨晴(あまはらし)」の2カ所が希望した。

 支援する各地の駅は▽賞味期限が迫る商品から扱う▽委託販売ではなく買い取る―などのルールに沿って取り組んでいる。いずれも熊本・大分地震で培ったノウハウだ。後藤さんを含む九州沖縄の有志が、熊本県内の駅の復興を手伝った経験から生まれた。

 女性駅長会の活動を機に輪はさらに広がり、のと千里浜の商品は現在全国約30カ所で売られている。岩崎誠支配人(50)は「後藤さんの動きは早く、本当に助かった」と感謝を述べた。

 被災地は建物の修復、スタッフの復帰にめどが立たない駅はまだ多い。後藤さんは「これから助けが必要になる所も多く、息の長いサポートが必要。全国に仲間がいることは強みなので助け合っていきたい」と語った。

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