マカオで今年初の在郷軍人病感染者確認…患者は48歳地元女性、潜伏期間中に香港・広州渡航も宿泊歴なし

科大医院(資料)=マカオ・コタイ地区にて本紙撮影

 マカオ政府衛生局(SSM)は3月20日午後、マカオで今年(2024年)初めてとなる在郷軍人病(退役軍人病、レジオネラ肺炎)感染例を確認したと発表。

 患者はマカオ居民の女性(48)で、3月10日に発熱と咳の症状が現れたことから私立のクリニックを受診。その後も症状が持続したため、18日に私立総合病院の科大医院を受診し、入院する運びに。同院での胸部CT検査で右下肺に肺炎の症状が確認され、また19日に尿検査の結果がレジオネラ・ニューモフィラ抗原陽性となり、在郷軍人病に感染していると診断された。目下、患者の入院治療は続いており、容体は安定しているとのこと。なお、患者は潜伏期間中に家族と香港及び広州へ渡航したが、いずれも現地で宿泊はしておらず、家族に類似の症状は出ていないという。

 SSMによれば、在郷軍人病はレジオネラ属菌が引き起こす伝染病の一種で、菌を含む水が空調などを通じて飛散することによる空気感染すると考えられているとのこと。病名の由来は1976年に米国フィラデルフィアで開催された在郷軍人大会で集団発生したことによる。レジオネラ属菌は多様な環境下に存在するが、20〜45℃の温水で成長しやすく、水のタンク、スパプール、噴水、家庭で用いられる医療用吸入器などから見つかることも多いとのこと。症状としては、発熱、空咳、呼吸困難、倦怠感、頭痛、筋肉痛、腹痛、下痢などが挙げられ、抗生物質による治療が可能とのこと。

 マカオで確認された在郷軍人病の感染例は2023年が1人、2022年が1人、2021年が3人、2020年が6人、2019年が2人、2018年が5人。マカオ域内のほか、中国本土滞在時に感染したとみられるケースもあった。

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