【実話】左遷された40代会社員、本を100冊読み“不動産投資”を始めるも〈借金7,000万円〉…「不労所得・大家業」のキツ~イ現実

40代を過ぎてしまうと、いまの会社を辞めて転職しようと思ってもなかなか難しいものです。だからといって軽い気持ちで不動産投資に手を出すと、散々な目に遭うことも……。本記事では、恵比寿吉之助氏の著書『50代から年収100万円アップできる老後資産構築法』(ごきげんビジネス出版)から、不動産投資を始めて大赤字になった実話を紹介します。

40代平凡な会社員が、安易な不動産投資で地獄を見た話

これからお伝えするのは私のリアルな物語です。お読みいただくと、私がいかに平凡な人間かがわかると思います。

また、私が経験した不動産投資の失敗談も赤裸々に書きましたので、反面教師として参考にしていただきたいです。こんな私でも地獄から立ちなおれたので、あなたもきっとできるはずです!

40歳で左遷「会社人生、終わったな……」

40歳の誕生日、私は地方に飛ばされました。上司から地方都市の出向先へ転勤を告げられたときは、「まさか!」と耳を疑いました。明らかな左遷です。

自分の働きがまったく評価されなかった悔しさと情けなさ。いきなり人生設計が狂ってしまった。今の生活レベルがキープできなくなる。どうやってこれから家族を守っていけばいいのだろうと、将来に対する絶望感が襲ってきました。

これ以上の出世は見込めないし、いつリストラされるかもしれない。「会社をやめたい」という言葉が頭をよぎりましたが、会社をやめた自分の人生をイメージしたとたん、急に不安になりました。

この年齢で転職できるかわからない。それに今、会社をやめたら収入がゼロになって生活できなくなるのは確実。上司に干されて、ようやくはじめて自分に実力がないことを思い知ったのです。

会社を嫌だと思いながら、会社に依存している自分がもっと嫌でした。このまま会社にしがみついても一生後悔する。なんとかしたい! 早く自立しなければ。貧しい老後なんて冗談ではない。そのような絶望と不安の中、私の40代がスタートしたのです。

会社人生の先が完全に見えてしまった今、人生80年とすれば、すでに半分が経過しています。あと半分しか時間がない。私は焦りました。

「副業をはじめよう」私は中小企業診断士の知識と販売の仕事の経験を活かし、集客コンサルタントとして活動をはじめました。

毎日ブログを書くとクライアントが集まり、順調に仕事が増えました。しかし、コンサルの仕事が忙しくなればなるほど、心身ともに疲弊……。

「これ以上、時間はつくれない。労働収入でお金を稼ぐのは、もう限界だ……」

そう悟った私は、「不労所得」が得られる不動産投資について、真剣に考えはじめました。今まで投資未経験でしたが、ここではじめて不動産投資に目が向いたのです。

「将来は安泰だ!」不動産投資に期待を高める

私は慎重な性格ですから、相場の変動がある投資は嫌です。リーマンショックなど、相場は自分でコントロールできませんので、株はダメだと思いました。

当時は民泊がブームでしたが、観光需要も自分でコントロールできないので踏みとどまりました(その後、新型コロナウイルスの影響で旅行者が激減したので、民泊に手を出さなくて結果的に大正解)。

私は、安定的に成功できる投資方法を求めていました。そんな中、不動産投資は一番安定していると思いました。住宅は必需品なので、誰かが住んでくれるだろうと。

大家の仕事は昔からありますし、ビジネスモデルもシンプル。それと、何より家賃が魅力です。「月100万円の家賃収入」があれば、経済的に自立できてFIREも夢ではありません。

私は不動産投資をやろうと決意し、まず不動産投資の本を100冊以上読みました。「大勢の投資家が本に書く方法を選べば失敗しないだろう」と思ったわけです(振り返れば、大事な投資方法を「多数決」で決めるのは愚かでした)。

たくさんの本を読んだ結果、私はこう考えました。物件を探す際のポイントは、都心・駅近・築浅・家賃が高い・見た目がキレイ……。要するに、「自分が住みたい」くらい条件のよい物件を買えば、入居者が喜び、空室もなく途切れず家賃が入ってくると思ったのです。

そこで、立地や土地勘にこだわって、東京都内で駅近のワンルームマンションを3戸買いました。フルローンなので、ほとんど自己資金なしで購入可能でした。

3物件の家賃は9万円、8万円、7万円。都内なので家賃は高めです。いずれ借金返済が終わったら、毎月24万円が自分のお金として入ってくる。想像しただけでワクワク。「いい物件を買えたから将来は安泰だ!」と、買った直後はものすごくテンションが上がっていました。

不動産投資デビュー後、失敗の連続

ところが、です。物件購入後、いきなり大赤字!

1つ目の物件は、買って1年以内に退去になり驚きました。通勤に超便利なので、退去なんてしないだろうと高を括っていたのです。原状回復の修繕費用だけで20万円。一気に4年分の利益が消えた瞬間です。しかも、退去になって家賃が入ってこないのです。

2つ目の物件は、キッチンが故障して修繕費用が20万円。3年分の利益が消えました。

3つ目の物件も、風呂が故障して修繕費用が10万円。半年分の利益が消えました。

お金を増やしたくてはじめた不動産投資で、いきなり3戦3敗。あっという間に大赤字です。修繕費用がこんなにもかかる、すぐに退去になるなど、まったく予想外。自分の「常識」が音を立てて崩れました。

都心のワンルームマンション投資の現実

私は1800万円の物件を、利回り6%のフルローンで買いました。家賃9万円から管理費などローン返済や税金、保険を引いたら、月の利益は5000円。高校生のお小遣い程度しか残りません。

このような状態で空室になったり修繕があったりすると、いきなり赤字。一気に利益が何年分も吹っ飛んでしまいます。

いったいなんのために不動産を買ったのか。私が目標としていた家賃月収100万円を達成するためには、あと何戸、高額な物件を買わなければいけないんだ? 会社をやめたいと言いながら、たくさんの借金を抱えて余計にやめられなくなったかも……お先真っ暗です。

ワンルームでこりた私は、一棟アパートに興味をもちます。一棟アパートなら部屋数が多いので、すべての部屋がいきなり空室にならないし手堅そうだと考えました。

「築古アパートなら!」と購入も…

そんな中、目にとまったのが3000万円の築古アパートです。利回り12%の25年ローン。1室3万円の×10部屋あるので、月の家賃は30万円。家賃から管理費やローン返済などを引くと、月の利益は8万円。ワンルームより断然いいので、これならいけるだろうと購入しました。

しかし、甘かったです。また大赤字です。アパートは満室にならず、すぐ退去になりました。しかも、一旦退去になったら長期の空室。半年くらい入居が決まりません。

家賃はたったの3万円なのに、退去になったら原状回復の修繕費用で10万円くらいかかります。そして入居が決まると、不動産屋さんに広告料を10万円ほど払わなければいけません。入退去をくりかえすたびに支出がかさみ、まったく元が取れないのです。

たとえるなら「往復ビンタ」。退去のときに殴られて、入居のときにも殴られて、往復ビンタを喰らっているみたいな状態。このまま多額の借金を重ねてレバレッジなんてかけたら、破産して人生終わるな……と恐ろしくなりました。

不労所得に目が眩んで不動産投資をはじめたものの、気がついたら借金7000万円。とんでもない借金を抱えたにもかかわらず、銀行口座の残高はまったく増えていません。

ここで、ようやく自覚できたのです。どうやら自分は不動産投資で失敗しているらしい。まったく儲からない投資をしている。期待していた一棟ものもダメで、大変ショックを受けました。

何かがおかしい…でも、何がおかしいのか分からない

このときの私の不動産投資に対する考え方は、以下のとおりでした。

・都心で、駅から徒歩10分以内
・オーナーチェンジ物件がほしい
・リフォーム完了物件がほしい
・融資のつきやすい物件がほしい

しかし、このような考え方で突き進んだ結果、ことごとく目論見が外れるばかり。管理会社の言われるままにお金がかかり、どんどんストレスが溜まっていく。家賃をコツコツ積み上げたと思ったら、お金が出ていくときはドーンと大きな苦しみ。お金も心も赤字。

予定どおりにいかない現実。問題を避けていたら、「儲からない」という最大の問題を抱えてしまったのです。何かがおかしい。でも、何がおかしいのかがわからない。そんな状態に陥ったのでした。

恵比寿 吉之助

中高年の資産所得倍増アドバイザー

※本記事は『50代から年収100万円アップできる老後資産構築法』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

© 株式会社幻冬舎ゴールドオンライン