「まずは○○」自民党・太田房江参院議員流、女性政治家の増やし方とは?選挙ドットコムちゃんねるまとめ

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2024年3月17日に公開された動画のテーマは、ズバリ「女性が政治に挑戦しやすくするためには?女性政治家の増やし方」。ゲストの自由民主党・太田房江参議院議員を迎え、本題から「政治とカネ」の問題までたっぷりお話しいただきました。

なんと、政治家・太田房江氏のお財布事情が赤裸々にわかるデータまで大公開……?!

【このトピックのポイント】
・女性が政治活動に参加できないのは○○のせい?
・女性議員比率の向上、まずはクオータ制導入を!
・それで、自民党は政治改革できるの?

太田氏のプロフィールは以下の通りです。

東京大学経済学部を卒業後、1975年に通商産業省(現経済産業省)に入省。

官僚になった理由を「女性が活躍できそうに見えた」と話します。

1997年から2年間、岡山県副知事を務めました。

岡山県副知事になったのは、橋本龍太郎氏と「先祖代々のお墓は岡山県にある」という話をしたのがきっかけだったそうです。

横山ノック氏の後に全国初の女性知事として2000年に大阪府知事に当選。2008年までの2期8年務めました。

2013年の参院選に当選し、自民党の女性局長や厚生労働大臣政務官などを歴任。2022年に経済産業副大臣に就任しました。

今回は以下の質問からいくつかピックアップして太田房江氏に回答していただきました。

女性が政治に挑戦しやすくするためには?

日本では、政治の世界でも女性比率が低いのが現状です。現在の女性議員の比率は、衆議院が10.3%、参議院でも26.7%に過ぎません。

太田氏は、女性議員がなかなか増えない要因として、一過性の知名度や人気があったとしても、「看板・カバン・地盤」が不足している、中でも「カバン(お金)」と「地盤」の不足にあると語ります。

太田房江氏「とくにカバンだね。お金がかかる」

以前と比べ、地方議員では女性比率が増えていますが、衆議院ではあまり増えていない。変わっているところはあるのでしょうか?

「基本的に何も変わっていないと思います」と太田氏は語りますが、自民党も女性3割と言い出したように、数値目標がはっきり出てくると、それに沿ってある程度の人が動き出す。そのことが、とくに参議院が26%まで女性比率が伸びた理由ではないかと推察します。

ところが、衆議院は地元に密着。地域での選挙活動もハードです。選挙活動ではとにかく、家庭や商店街など、あちこちを戸別訪問しています。

太田氏「維新の強いところも前回申し上げたように(戸別訪問に)歩くんですよ」

MC鈴木邦和「自民党みたいな政治活動するって」

太田氏「(維新にお株を)取られちゃったの。1日何百件ってノルマがあるの、数値目標が。自民党の場合、いま(ノルマが)ない」

このようにハードな選挙活動スタイルでも「(女性でも)やったらやれますよ」と太田氏は涼しげに語ります。むしろ、昼間、女性ばかりのお宅に訪問するには、女性のほうが訪問しやすいはずだとコメントします。

日本初の女性知事だった太田氏。意地悪されているなあと感じたことはあったけれど、ご自身曰く「鈍感力」で受け流してきたようです。「イジワルされる分だけ期待されてんやわ」と受け止めてきたし、東京と大阪の地域性の違いもあると懐かしそうに語りました。

ガラスの天井指数、29ヵ国中27位。脱するためにクオータ制を

太田氏は、「最近、自民党内でもクオータ制という言葉を出してもやっと叱られなくなった、ジェンダーギャップと言えるようになった」と笑います。

太田氏「言えなかったですよ〜。(自民党の男性議員は)国際女性デーも知らないの」

ガラスの天井指数、日本は29ヵ国中でなんと27位。

唯一1位を取れたのは「父親の産休・育休取得時の所得保障」。今回、「子ども未来戦略」のひとつで実現したもので、父親が育休を取っても手取りベースでほぼ同じ金額がもらえるというものです。

太田氏「これ(父親の産休・育休取得時の所得保障)が順位を上げて、やっと27位よ」

「企業の管理職女性割合」「企業の役員女性割合」「国会議員女性割合」を改善するために、クオータ制を取り入れるべきと訴える太田氏。

逆差別を心配する声がありますが、いったんある程度女性比率を高め、引っ張り上げるためには、クオータ制のように、ある程度リジッド(rigid:厳密な)な制度を導入しなければならないと訴えます。

太田氏「行きすぎたと思ったら、一回休めばいいわけ。この点では(ライバルの)橋下徹さんと意見が一致している。大一致しちゃったの(笑)」

フランスでは、クオータ制の改善を重ねながら議員の女性比率を高めてきました。

2013年に県議会議員選で、男女ペア立候補制度(男女ペアで立候補し、ペアに投票する)といったユニークな制度も導入しています。

またフランスは、クオータ制が憲法違反だという声に対して、2000年に憲法改正しました。すると、女性比率がぐぐっと上昇。

太田氏「クオータ制で、30%を目標にするとそれより上に行くの。空気が変わる。クオータ制を引いた途端に、女性を選ぼうという風が起こるんだと思いますよ」

MC鈴木「クオータ制に対し、自民党内での反対の声は今でも多いんですか?」

反対の声が多いけれども、だいぶ空気が変わってきたと太田氏は微笑みます。参議院の比例名簿で女性・男性・女性・男性……の順で名簿を作成するという提案が言えるようになったのもごく最近のことだそうです。

女性議員を増やすことで、今の「おっさん政党」と呼ばれる自民党自体を変える力になるのではないかと太田氏は展望します。クリーンな政治を作っていく、最初にぐっと女性比率を引き上げる機会を創出するため、クオータ制度を導入すべき、と力説します。

しかし、女性議員を増やし、隔離されたところに置いて甘やかせばよいという意味ではありません。

太田氏も官僚の頃は「チョウよ花よ」と大事にされたし、目立つポストにも付けられたけれど、女性が入れないポジションは厳然とあったと振り返ります。

そして、政治の世界に入って初めて荒波にもまれ、成長することができたと振り返ります。女性も「がっつりぶっ叩かれ路線」を経験すべきだと語ります。

さて、自民党のジェンダーギャップを語る話といえば、自民党和歌山県連の「過激ダンスショー事件」。党女性局長を務め、青年局と同席する機会も少なかった太田氏は、あまり驚きはなかったと冷静にコメントします。

太田氏「ああいう所に女性が入ってても『みっともないから止めなさいよ』とは言えませんよ。だいたいそういうところには、女性議員を連れてってくれない。太田さんちょっと、後でねって」

やはり男女比率が5:5にならないと、こうした問題はなくなりそうにありません。

それで、自民党で政治改革できるの?太田議員、議員活動のお財布事情を暴露

自民党の政治刷新本部の幹事を務めている太田氏。平場と呼ばれる会議では「みんな、ガンガン言っている」と語ります。

それでも、太田氏は「女性の目から見ると、当たり前のことができていないだけ」と厳しい目を持ちます。

太田氏「政治家がちやほやされすぎて勘違いしている。普通に当たり前に、人間がやるべきことをやればいいのに、それに気づかない男は何なの?って気がします」

男性議員は衆議院1期目でも政務官を務めますが、国会議員になったばかりの政務官にも官僚がちやほやすると、太田氏は眉をひそめます。

MC鈴木「男性のほうが地位や肩書きを求めがち?」

大臣が最終決定権を持つ中、副大臣や政務官はそれほど権力はありません。官僚が権限や権力のない政務官や副大臣を必要以上に丁寧に扱うことも、政治家を勘違いさせてしまうのではないかと太田氏は疑問を抱きます。

MC鈴木「人間の地位や肩書きに対する欲求や行動原理も、男女半々になったら変わりそうですね」

太田氏は、公僕やノーブレスオブリージュといった文化が日本に育ってこなかったと指摘します。それは、女性などのマイノリティに対するリスペクトの精神がなかったからで、今のいろいろな事態を生む根本になったと考察します。

話はキックバック問題に移ります。

自身も安倍派でキックバックを受け取った太田氏。2018年から2020年までの3年間について「ほんとうに知らなかった」と悔しそうに語ります。

国民のかたがたが見たら、知らないなんてあり得ないと思うかもしれません。でも「甘えですけれど、前からやっていることなんだからおかしいわけないよ、というところから始まっている」という慣例のようなものだったようです。

太田氏が初めてキックバックを知ったのは、2020年の16万円。「領収書はいらない=記載不要」ということがわからず、懸命に記載しようとして「パーティ収入」として記載したところ、「虚偽記載」とされたとのこと。

「一生懸命考えて、苦肉の策で書いたのに虚偽って。ものすごく反発を感じます。キックバックを受けたとされる80何名、それぞれの事情があるんです。そこはわかってほしい」と憤慨する太田氏。

MC鈴木「議員自身が細かいお金をすべて把握しているわけではない?」

意図して裏金を作っている人もいるかもしれないが、何が問題だったのかを切り分けてクリアに議論すべきとMC鈴木邦和は洞察します。

「根本は、政治にお金がかかることなんですよね」と太田さんは自身の収入と支出の内訳のグラフを示します。

まず、収入の基本となるのは政党交付金(緑の部分)。このお金がいつ入金されるのか、決まっていないのだそうです。これに、パーティ収入と寄付や派閥から得るお金が収入になります。

この「政党交付金」が足りていないことを示しているのが、支出の緑の部分です。この緑の部分は、政党交付金からの支出が認められている項目ですが、これがまったく足りていないと、太田氏はグラフで説明します。

なお、一般的な議員では、政党交付金と人件費がほぼイコールで、家賃や通信費などは賄えていないとのこと。

太田氏「パーティをやらなければならない、派閥からもお金をいただかなければやっていけないのが根本原因。ただし、もらったお金は記載しなければいけない。今回はこれができていなかったことが根本原因。それと裏金づくりとは別」

太田氏は、今日の政治活動自体がある意味フィクションになっていて、「絶対できないことを前提に政治活動が組まれていて、それを裏付けるお金しか出ていない」と指摘します。

太田氏「年金もない地方議員の処遇まで視野に入れて、クリーンにできる、あるべき政治活動に対するお金を出すべき。でないと持続できなくなり、裏金を作ろうとするものが出てくる」

自身も政治経験のあるMC鈴木邦和は、「お金を儲けるためなら絶対政治家にはならないですね」と笑います。

太田氏「私のこのスーツもテレビ通販やアウトレット。上から下まで1万円で抑える。高く見せるのがポイント(笑)」

動画本編はこちら!

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