プチ整形もカツラの着用も大賛成!高齢者の「若返り」が日本を救うワケ【東大医学部卒の医師が解説】

高齢者のあり方が問われる日本。本当は、彼ら・彼女らこそが日本を救うのカギなのでは? 『60代からの見た目の壁』(株式会社エクスナレッジ)の著者で医師の和田秀樹氏が解説します。

自分の体は自分で守る

日本の社会はあの手この手で高齢者をヨボヨボにしようとしています。その結果、医療や介護の費用が増加するわけですが、その責任があたかも高齢者のほうにあるかのように問題がすり替えられています。

日本は少子高齢化が進んでいますが、厚労省の発表によると、20年の要介護(要支援を含む)認定者が約682万人です。また22年には、日本の総人口に占める高齢者の割合が29.1%で、世界の200の国と地域の中でも過去最高を記録しました。総人口の3割以上が高齢者になるのも時間の問題です。

さて、これまで消費税率が段階的に引き上げられてきましたが、消費税率が上がるたびに、政府は高齢化をいい訳にしてきました。

その一方で、若い人たちの給与明細書を見ると、社会保険料が給与から2割くらい天引きされているわけです。若い働き盛りの人にしてみれば、なんで自分たちのお金が高齢者のためにこんなに使わなければならないのか? と思わずにはいられないでしょう。でもそれは政府に忖度したマスコミなどの協力によって、そう思わせられているだけです。

この国の借金(国債の発行残高)は約1,000兆円あります。政府はこの借金も医療費の増加など高齢化のせいだといっていますが、これは真っ赤なウソです。

借金が急激にふくらんだのは、90年代にバブルがはじけた後、景気回復と称して、ほとんど意味のない公共事業をやり続けた結果であって、高齢化がおもな原因でできた借金ではありません。

でも政府にしてみれば、高齢化を借金の理由にしておけば、責任追及されないだろうからと、無責任なウソをつき続けているのでしょう。

みんながウソつきのこの国で、一番たたきやすいと思われているのが高齢者です。しかも高齢者は、そういわれても文句をいわないだろうとも思われています。

でもそろそろいいたいことをいわないと、身も心もボロボロになってしまいます。見た目も、体の健康も、心の健康も蝕まれていくばかりなのです。

大事なことは、自分の身は自分で守るということ。免許を返納したら、6年後には要介護が2倍以上に増えるのです。外出をこれからも避けていたら、フレイルになるのは目に見えています。それで本当によいのでしょうか?

クルマの運転を続けたらまわりに迷惑をかけるとか、外に出るなといわれているのに出るのは迷惑なのでは? と、いわれたとおりのことをしていたら、自分にどんな被害がおよぶのか、よく考えておいたほうがよいと思います。

高齢化問題の解決策は「若返り」

見た目に関しても、若く見せようとする高齢者に対して、日本の社会にはそれを認めようとしない空気というか、圧力のようなものが感じられます。

ボトックスでシワを取れば、「あの人、整形したわね」といわれますし、薄くなった髪を隠そうとカツラをすれば、「あいつ、ズラだぜ」とさげすまれる。これでは見た目を若くして、街をさっそうと歩こうという気持ちにもなれないでしょう。

こういう高齢者が、おとなしく家にこもって、やがて寝たきりになって、早く消えていなくなったほうが日本はよい国になるとでも思っているのでしょうか。

22年に公開された『プラン75』(早川千絵監督)という映画があります。架空の現代という設定で、日本では高齢化問題の解決策として、75歳以上の高齢者に安楽死する権利(プラン75)が認められたという物語です。プラン75を申請すれば、国のシステムにしたがって安楽死することができます。倍賞千恵子さんが演じた主人公の高齢女性は、職を失い半ば追い込まれるようにしてプラン75を申請します。

映画はこのような社会の是非を問うような内容になっていますが、今の日本社会は安楽死を認めていないものの、高齢者が早く死ぬことを望んでいる社会という点では極めて似ている状況ではないでしょうか。

高齢者が長く生きれば生きるほど、医療費や介護費が国の予算を食いつぶすという状況に対し、国には国民が納得できる解決策がありません。

ではどうすればよいのでしょうか。私が考える解決策は、「若返り」です。要介護の予算が増えているといいますが、元気になる高齢者が増えれば、その増加分を抑えることができるからです。また労働力不足も解消するでしょう。

さらに、プチ整形をするなり、カツラをつけるなりして、見た目をもっと若くしたいなら、どんどんやればよいのです。

自分が若く見えるという満足感は、意欲を高めるので、積極的に外に出て行くであろうし、アタマを使うので認知症になるリスクも減ります。ヨボヨボ老人にならないためには、見た目を若くすることが最優先なのです。

和田 秀樹
医師

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