俚謡山脈×エム・レコードの日本民謡発掘第5弾は、東北最古にして“爆撃盆踊りチューン”「ナニャトヤラ」

2019年6月にリリースした『おしゃらく』を最後に、パンデミック下で休止せざるをえなかった俚謡山脈(監修)×エム・レコードによる日本民謡発掘シリーズが再始動。第5弾として、東北最古の盆踊り唄であり、岩手県北部二戸市に伝わる“フロア向けの縦断爆撃盆踊りチューン”『ナニャトヤラ』が3月21日(木)にリリースされています。

コロナウィルスが猛威をふるった2019年以降、各地の民謡保存会もその活動を停止させ、盆踊りや発表会での披露、練習会までもが中止に。それに伴い、この民謡発掘リリースも中断を余儀なくされていましたが、それも“今”の民謡にこだわればこそ。2024年、状況が徐々に改善されてきたため、今回コロナ禍以前から温められていたリリース計画がついに実を結びました。

「ナニャトヤラ」は、岩手県北部と青森の旧南部藩領に跨がった地域に広く伝わる、東北最古といわれる盆踊り。「ナニャトヤラ」というワンフレーズをひたすら繰り返すトランシーなこの盆踊りは“謎の歌”として知られ、その由来は諸説あります。有名なものはキリストの墓伝説と共に語られる「ヘブライ語説」ですが源流は不明。「田名部おしまこ」「とらじょ様」「天間のみよこ」、さらには北海道の代表的民謡である「道南盆唄」など、多数の盆踊り唄や仕事唄がこの唄の系譜にあり、東北民謡のファンデーション(基礎)のひとつと言うことができるでしょう。

本作『ナニャトヤラ』には、岩手県北部二戸市で活動する二戸市ナニャトヤラ保存会による「ナニャトヤラ」の2002年録音、2015年録音、2023年録音の3ヴァージョンが収録されます。この唄に纏わされた“謎の歌”というエキゾチシズムの色眼鏡を吹き飛ばす、現場仕様の圧倒的テンション。縦断爆撃のような太鼓と即興で繋がれていく歌詞が鳴り止まない、フロアも狂熱の渦に巻き込む衝撃作となっています。「保存会」を名乗りつつも、力強くナニャトヤラを現代の形にパッタナー(改良・発展)させていく、二戸市ナニャトヤラ保存会は「民謡=古い物語」という固定観念をぶち壊し、コロナ禍を乗り越えて再開した俚謡×エム民謡発掘シリーズの復活第1弾として相応しい、現場の音を届けます。

なお、マスタリングは倉谷拓人が務め、2023年版の録音はSUGAI KENが録音・ミキシングを担当しています。

(注記:本作では「ナニャトヤラ」と表記されていますが、「ナニャドヤラ」と表記される場合もあります。)

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