3月ロイター企業調査:日銀追加利上げ、6割が年内0.25%までと予想

Maki Shiraki

[東京 21日 ロイター] - 3月のロイター企業調査で、マイナス金利政策の解除後に日銀が政策金利をどこまで引き上げるか予想を聞いたところ、約6割が年内に0.25%までと回答した。約4割は9月までに最初の利上げがあるとみており、設備投資の前倒しを検討するとの声が多く聞かれた。来年以降との回答は2割超、利上げできないとの回答も1割ほどあった。

調査期間は3月6日から15日で、日銀が政策修正を発表した19日より以前に実施した。発送社数は498、回答社数は237。

日銀は当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を課す手法から、政策金利のターゲットを無担保コール翌日物金利に戻し、ゼロー0.1%を誘導水準にすることを決めた。この変更自体は企業活動や日々の暮らしに大きな影響を与えないとみられており、日銀が政策金利をその後どのようなペースで引き上げていくかが焦点となっている。

回答企業のうち、「7─9月」に利上げするとの予想が29%と最も多かった。日銀は政策修正の決定前から緩和的な環境を維持していくとのメッセージを発信していたが、「4ー6月」の13%と合わせると、回答企業の42%が2024年度上半期に最初の利上げがあるとみていた。

21%が「10ー12月」と回答し、併せて63%が年内の利上げを予想した。「来年以降」との回答は26%、「利上げできない」は11%だった。

年内の政策金利の水準予想を聞いたところ、62%が「0.250%まで」と答えた。「ゼロ金利のまま」が22%、「0.50%まで」が14%、「0.50%超」が2%だった。

日銀が最終的に引き上げる政策金利「ターミナル金利」の予想は、「0.25%程度」が31%で最多だった。次が「0.50%程度」で29%、「1.00%程度」が20%と続いた。「ゼロ」金利のままとの予想は6%だった。

日銀による利上げを見越してどのような対応を考えているかの質問に対しては、40%が「設備投資の前倒し実施」と回答した。「社債の前倒し発行」は4%だった。また、50社以上が「特に対応は検討していない」、「特になし」などと回答した。

「内部留保の切り崩しによる設備投資」(金属製品)、「銀行ローンなどを前倒し」(小売)、「有利子負債の削減」(建設業)、「円高を想定して外貨建て債券やドル預金を減らしている」(化学)などの声も聞かれた。

(白木真紀 編集:久保信博)

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