ここが正念場!パリ五輪メンバー入りを狙い活躍中のJリーガー4選

MF荒木遼太郎(左)MF山田楓喜(右) 写真:Getty Images

2024年7月に開催されるパリオリンピック。サッカー男子は4月から行われるU-23アジアカップの上位3チームが本大会への切符を手にし、4位は大陸間プレーオフへと回る。昨年は2度の欧州遠征で強豪国を相手に善戦したこの世代。さらに11月に行われたアルゼンチンとの1戦は5-2と大量得点で勝利を収めており、これらの試合で起用されてきた選手たちを軸にアジアカップおよび本戦に向けて限られた枠をめぐるメンバー選考が今後の注目ポイントになるだろう。

そんな中、3月22日のマリ戦と25日のウクライナ戦に臨む代表メンバー26名が発表された。現在欧州で活躍する数名の主力選手が招集外となる中で、Jリーグから数多くの選手が招集されている。直近のアルゼンチン戦でのスタメンと当時A代表の活動で不在だったGK鈴木彩艶(シント=トロイデンVV)やFW細谷真大(柏レイソル)といった主力選手を含めると、すでに18名と言われている五輪メンバー枠のほとんどが埋まる。さらにオーバーエイジを最大3枠使うのであれば、残された枠は極めて少ないと言えるだろう。

ここでは、そんな限られた枠を狙いリーグ開幕から好調な姿を見せている選手のなかで、今回のU-23日本代表に招集された選手4名を紹介する。


FC東京 MF荒木遼太郎 写真:Getty Images

荒木遼太郎(FC東京)

今冬、鹿島アントラーズからFC東京へ期限付き移籍したMF荒木遼太郎。J1リーグ開幕からまだ4節とシーズン序盤だが、荒木にとっても覚悟の移籍は早くも成功と言えるのではないだろうか。ここまで4試合すべてに出場し4ゴールをマーク。チームとしての戦績は白星が1つとやや躓いたが、荒木個人としては早々とチームに適応し結果を残している。

2021シーズンに36試合10ゴールと大ブレイクを果たし、翌シーズンからは名門鹿島で背番号「10」を背負うほど将来を嘱望された存在。パリ五輪でもMF鈴木唯人(ブレンビーIF/デンマーク)らとともに魅力的な攻撃陣を形成するものと期待されていた。しかし、2022シーズン以降は負傷離脱などもあり出場機会が減少。苦しい2シーズンを経て今冬に一時鹿島を離れる決断を下した。

同世代の攻撃的なポジションでは、すでに海外で活躍する選手も数多く揃う。FC東京での活躍により今回久々に招集された荒木にとっては、Jリーグで見せる好調さをU-23の舞台でも見せられるか勝負の2試合になる。体調不良と気がかりな報道も出ているが、新天地で輝きを取り戻しつつあるアタッカーの勢いそのままに代表でも存在感を発揮できるか注目だ。


東京ヴェルディ MF山田楓喜 写真:Getty Images

山田楓喜(東京ヴェルディ)

16年ぶりにJ1へ帰ってきた東京ヴェルディ。久々のトップカテゴリーは第4節までを終了した時点で2分2敗と苦しい船出となっているが、昨年の上位勢を相手に善戦するなど楽しみな要素も多く見せていると言えよう。そんな東京Vを支えるU-23代表候補がMF山田楓喜だ。

今冬京都サンガから期限付きで加入した山田は、ここまで全試合に出場。開幕戦の横浜F・マリノス戦では、チームにとって16年ぶりとなるJ1でのゴールをフリーキックから鮮やかに決めて国立競技場を湧かせた。さらに、第4節のアルビレックス新潟戦でも開始早々に得たフリーキックのチャンスを直接沈めて今季2ゴール目をマーク。東京Vの新たな武器となっている。

精度の高いキックに加え、前線での守備意識の高さも大きな魅力。技術と積極性、献身性を併せ持つことは同世代の選手と比較しても間違いなく強みになると言えよう。とはいえ、今や海外で活躍する選手も多い2列目の序列争いが熾烈なことに変わりはない。海外組の少ない今回のマリ戦、ウクライナ戦で大岩剛監督を悩ませる働きを見せられるか注目だ。


湘南ベルマーレ MF田中聡 写真:Getty Images

田中聡(湘南ベルマーレ)

昨夏、KVコルトレイク(ベルギー1部)への期限付き移籍から湘南ベルマーレへ帰還したMF田中聡。チームに戻ってからは11試合に出場し、湘南のJ1残留に貢献している。今季もここまで主力として4試合すべてにスタメン出場。もともと定評のあった球際の強さ、ボール奪取能力に加えて今季は攻撃面でも躍動。第2節の京都サンガ戦ではミドルシュートでゴールを、第4節の浦和レッズ戦では鋭い縦パスやエリア内でのターンから決定機に絡みアシストを1つマークするなど、試合のたびに存在感が増している印象だ。

しかし、これだけJリーグでアピールを続ける田中であってもU-23アジアカップやその先のパリ五輪のメンバー入りは容易ではない。今回のマリ戦、ウクライナ戦でも、攻撃的な海外組が未招集であるのに対しこれまでも中盤を支えてきたMF藤田譲瑠チマやMF山本理仁(いずれもシント=トロイデンVV)は招集されている。加えて、田中と同じくJリーグで活躍するMF松木玖生(FC東京)にMF川﨑颯太(京都サンガ)と国内組のなかでも争いは熾烈を極めていると言えよう。

ハイレベルな選手が揃うポジションなだけに、3月の親善試合2試合で田中にどれだけアピールの時間が与えられるかはわからない。だが、Jリーグでの好調ぶりを見ていると最終メンバーとしてぜひとも出場して序列争いに変化をもたらす活躍をしてほしいものだ。

町田ゼルビア FW平河悠 写真:Getty Images

平河悠(町田ゼルビア)

今季がJ1初年度となっている町田ゼルビア。ここまで4試合負けなし、直近は3連勝中と昨年J2を席巻した勢いそのままにJ1でも堂々たる戦いぶりを見せている。そんな町田の躍進を支えている若きアタッカーこそFW平河悠だ。

2021年から2シーズンの特別指定を経て2023シーズンより町田へ加入。昨年はルーキーイヤーながら35試合で6ゴールをマークして町田のJ2優勝とJ1昇格に大きく貢献している。今季J1へ舞台を移してもスピードと積極的な仕掛けの姿勢は健在。好調な町田の攻撃を支えている。

この世代では、昨年6月の欧州遠征が初招集となった平河。今や海外で活躍する選手も多い中盤の攻撃的なポジションとしては後発と言わざるを得ない。しかし、J2からJ1へカテゴリーが変わってなお輝きを放っていることは、間違いなく高い評価につながっているはずだ。ライバルたちが不参加の今回、序列をひっくり返すほどの躍動に期待だ。

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