開幕3試合の体たらくが嘘のようなパフォーマンスで、FC東京がアビスパ福岡を撃破。しかも、鬼門と言われたアウェーでだ。
この日は、ディエゴ・オリヴェイラをCFに置く布陣ではなく、トップに荒木遼太郎、その後方に松木玖生、ボランチに今季初先発の高宇洋を起用して臨んだピーター・クラモフスキー監督の采配がズバリ当たった。
高が絶妙なポジショニングでボールを出し入れし、同じボランチの小泉慶とともにゲームを組み立てれば、荒木と松木は空いているスペースに走り込んでパスコースを作るなどして、チームはリズミカルなパス回しからチャンスを作った。
荒木と松木らが相手を複数人引きつけたおかげで、CB森重真人からも鋭い縦パスが前線に入る。そうして主導権を握ると、長友佑都、荒木、バングーナガンデ佳史扶のゴールでリードすると、最終的に1失点も3-1と今季初勝利を収めた。
前の3試合と、福岡戦、何が変わったのか。それを遠藤渓太に問うと、次の答が返ってきた。
「ここに行き着くまでみんなで意見を言い合ったり、もがき合った中で掴んだ1勝で、内容も充実した試合だった。何が変わったというよりも、一人ひとりが当たり前のことを当たり前にやるようになったというか、そこが大前提ですね」
こういう試合では得点者の長友や荒木らに注目が集まりがちだが、遠藤の視点は違う。
「みんな気づいてないかもしれないけど、輝くん(仲川輝人)は要所でやられてはいけないところで守備の強度はああ見えて高い。最後のほうのヤン(高)と安斎(颯馬)のスライディングとかもチームの士気が高まるし、そういうプレーをみんながやれれば」
特定の誰かの活躍ではなく、福岡戦の勝利はチームで掴んだものだった。
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)