龍神産「サカキ」の苗木を販売 自生良木の種から育てる、和歌山

田辺市龍神村で種から育てたサカキの苗木(和歌山県田辺市中辺路町で)

 和歌山県田辺市龍神村を拠点にサカキやコウヤマキの切り花を生産している大成花樹(本社・田辺市中辺路町)が、龍神村内で採取した種から育てたサカキの苗木の販売を始めた。サカキの苗木を販売する事業所は県内でも少ない。同社は龍神村の活性化につなげたいと期待を寄せている。

 和歌山は全国でも有数のサカキの切り花産地だが、国内で生産されるサカキの切り花は全体では年々減少しているとされる。このため同社では2019年に苗木の育成にも着手し、業容の多角化を進めている。

 苗木は、龍神村内に自生するサカキの中でも葉の光沢が良い木を選んで種を採取し、村内に設けた育成用施設で草取りや施肥などをして育てている。

 当初は種をまいてから2年程度で販売する予定だったが、虫食いや病気が発生したため、品質の良い苗木が育つのを待った。また、村内の山に植樹もしており、資源の保全と産業の振興に役立てている。

 同社では神職が使う「しゃく」なども製造しており、その関係で関東や東海の神社からも苗木の注文が入っている。高さ50~70センチに育ったのを順次発送しており、神社の敷地内などに植えられるという。

 大成花樹の木下敦雄代表(42)は「苗木の育成には時間がかかり大変な面もあるが、龍神という地名に神秘的な印象を感じる人もいるはず。切り花産地としての認知度と合わせ、龍神産の苗木を全国にアピールしたい」と意気込んでいる。

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