過去30年の低金利に伴う「逸失金利収入」は600兆円=植田日銀総裁

Takahiko Wada

[東京 21日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は21日、参院財政金融委員会で、1993年から2022年までの間に低金利のために家計や企業が手にできなかった「逸失金利収入」は総額600兆円に上ると述べた。

ただ、利子所得の下押しで総需要にマイナスの影響が出た可能性があるものの、金融緩和で金利を低位に誘導することで経済環境の改善につながったと指摘。低金利が経済全体にどういう影響をもたらしたか総合的に考慮すべきだと述べた。

大塚耕平議員(民主)の質問に答えた。

日銀は19日の金融政策決定会合で大規模緩和の修正を決めたが、国債買い入れは続けていく。植田総裁は当面、国債の保有残高はおおむね横ばいで推移するとし、高水準の国債保有が金利の押し下げにつながる「ストック効果」は引き続き作用するが、このことをもって「量的・質的緩和政策」と呼ぶことは考えていないと述べた。

(和田崇彦)

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