神戸地裁、東電のみに賠償命令 原発避難者訴訟、国への請求退け

判決後、「不当判決」などと書かれた紙を掲げる原告側代理人=21日午後、神戸地裁前

 東京電力福島第1原発事故で、兵庫県に避難した福島県の被災者75人が国と東電に計約6億9100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で神戸地裁は21日、東電のみに賠償を命じ、国への請求は退けた。

 同種訴訟は全国で約30件起こされ、最高裁が22年6月に国の賠償責任を認めない判決を言い渡して以降、同様の判決が続いている。東電の賠償責任は最高裁で先行して確定していた。

 龍見昇裁判長は、東日本大震災の津波は政府機関が02年に公表した地震予測「長期評価」に基づく試算より大規模だったと指摘。「仮に国が東電に対策を義務づけたとしても事故は避けられなかった可能性があると言わざるを得ない」とした。

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