ユーロ圏の銀行、新種のリスクに備える必要=ECB

[フランクフルト 21日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のクラウディア・ブーフ銀行監督委員長は、ユーロ圏の銀行が超低金利時代の終わりや非従来型競合社の出現などの課題に直面し、リスク管理の方法を見直す必要に迫られているとの見解を示した。

景気後退(リセッション)に近い環境にもかかわらず貸倒損失は異常に低い水準にとどまっていると指摘。ただ、銀行をショックから守るための前例のない財政・金融支援が背景にあるかもしれないとした。

融資返済不履行に関する過去のデータで今後の資産の質に対するリスクを正確に測ることができないため、将来のリスク評価に影響すると見通した。

銀行はまた、サイバー攻撃や気候変動、地政学的変化など、長期的なビジネスモデルを根底から覆しかねないリスクに備える必要がある。

ブーフ氏は「銀行がリスク管理の慣行を新たな環境に適応させることが極めて重要」と強調した。

分散型台帳技術や人工知能(AI)の普及といったイノベーションがいわゆるシャドーバンク(影の銀行)を含む競合社の市場参入のハードルを下げることで利ざやを圧迫し、銀行に過度のリスクを負わせる可能性にも言及した。

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