開幕2戦で苦戦したRBを専門メディアが「過去12か月で最も成長したチーム」のひとつとした理由は?

2024年のF1はバーレーン、サウジアラビアと中東での2戦を終え、マックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスの連続ワンツーフィニッシュと、今季もレッドブルの強さが最初から炸裂した格好だ。

その中でチーム間の勢力構図も見えるようになってきたが、同時に各チームの新型マシンのポテンシャルがいかほどなのかという点にも各国メディアは注目している。ドイツのモータースポーツ専門サイト『MOTORSPORT TOTAL.COM』は「昨季と比べて最も成長したチームはどこか?」と題した記事で、各チームの昨季からの進化ぶりを検証している。

「“冬休みの宿題”を最もしっかりやったチームはどこか?」と綴った同メディアは、今季の開幕2戦における各チームの最速ラップを昨季のものと比較。「不完全な方法ではあるが、少なくとも幾つかの傾向を特定するには十分な精度がある」として、そのタイム差から各チームの車の現状に言及した。なお、全チームのタイム差は以下の通りだ。

チーム名:バーレーンGP/サウジGP
レッドブル:-0.600秒/-0.800秒
フェラーリ:-0.850秒/-0.700秒
メルセデス:-0.800秒/-0.500秒
マクラーレン:-1.500秒/-1.200秒
アストンマーティン:-0.800秒/-0.800秒
アルピーヌ:-0.100秒/+0.300秒
ウィリアムズ:-1.200秒/-1.000秒
RB:-1.300秒/-1.400秒
ハース:-1.000秒/-0.400秒
ザウバー:-0.700秒/-0.300秒
この中で唯一のプラス表示となったのはサウジGPでのアルピーヌ(+0.300秒)だけであり、同メディアは「明らかなアウトサイダー」と厳しく記述。対して、バーレーンGPではマクラーレン、サウジGPでは角田裕毅が所属するビザ・キャッシュアップ・RB(RB)が、それぞれマイナスの最高値をはじき出しており、「過去12か月で最も成長したチーム」と評している。

両チームともに昨季は最悪のスタートを切ったことを考えれば、納得のいく数値であるが、RBについては「アンダーボディの継続的な開発とサスペンションの変更によって大幅に改善され、低速コーナーのパフォーマンスでは最高のチームのひとつとなった」と説明。もっとも、「角田裕毅とダニエル・リカルドの発言によれば、レース時にはグリップが不足するということで、燃料搭載時における車の改善のために、さらに多くの時間を費やす必要がある」と綴った。

現時点での勢力構図として、「トップ5とワースト5の差がさらに広がった“二階級社会”」と表現した同メディアだが、まだ各チームの立ち位置を完全に確認するには消化レース数が足りないとも指摘。そして、それに最適なレースとして4月上旬に開催予定の鈴鹿サーキットでの第4戦・日本GPを挙げている。

「鈴鹿は、長いストレートで区切られた挑戦的な高速、中速、低速コーナーがある理想的な“テストコース”であり、さらにこれまでの秋ではなく、はるかに早い時期に開催される。ここでは、バーレーンやジッダよりも、チームが冬の間にどれだけ進化したかをよりよく把握できる。フェラーリのチーフエンジニア、ジョック・クリアも『日本GPは、車をテストするのにとても良いサーキットだ。あそこでは多くのことが分かる』と語っている」

構成●THE DIGEST編集部

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