水原一平氏の違法賭博騒動、近年ではトニー、ファジョーリ、トナーリといったサッカー選手も「借金返済のためだけに賭けることを考えていた」という悪循環に

現地3月20日、米紙『Los Angels Times』はロサンゼルス・ドジャースが大谷翔平の通訳を務める水原一平氏を解雇したと報じた。水原氏が違法な賭博行為に及んだ容疑が浮かび上がり、球団は即刻解雇を決断。多くの米メディアが次々と報じるなど、騒動の余波が広がっている。

違法賭博といえば、欧州サッカー界でもしばしば話題に挙がっている。近年では2023年5月に、イングランド・プレミアリーグのブレントフォードに所属するFWイバン・トニーが262件の賭博規則違反でFA(イングランド・サッカー協会)から8か月にわたる出場停止処分を受けた。

イタリア・セリエAのユベントスに所属する23歳のMFニコロ・ファジョーリは、23年10月17日に違法賭博を行なっていた事実を認め、FIGC(イタリア・サッカー連盟)から実質7か月の出場停止処分を受けている。ファジョーリは当初、サッカーではないスポーツベットを行なっていたが、次第にサッカーベットにも手を出し、借金の額は300万ユーロ(約5億円)にのぼったという。

「借金が膨れ上がり、『返さないと足をへし折る』という脅しも受けるようになった」と語ったファジョーリは、「借金返済のためだけに賭けることを考えていた」という悪循環に陥り、返済のために嘘をついて同僚らに借金をしていた。
また、MFサンドロ・トナーリ(ニューカッスル)もACミランに所属していた時に禁止されている違法賭博を行なっていた。トナーリは23年10月26日に自らの過ちを認め、実質10か月の出場停止処分を受け入れている。

いずれの場合もギャンブル依存症と診断された。ファジョーリやトナーリは、治療プログラムへの参加に加えて、同じように依存症に苦しむ他者に自らの過ちを語り伝える活動を義務付けれた。

FIGCのガブリエレ・グラビーナ会長は当時、このような声明を発表していた。

「過ちを犯した“子どもたち”を過度に非難するべきではない。ギャンブル依存症は社会的な病気だ。間違いを犯せば罰せられ、同時に治癒と回復プロジェクトを受けることになる。私たちは彼らが確実に復帰できるように手を差し伸べなければいけない。決して見捨てることはない」

構成●THE DIGEST編集部

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