大谷選手の通訳の水原一平氏、米ドジャースが解雇 窃盗疑惑の報道後

大井真理子、ビジネス記者

野球の米大リーグ(MLB)のスター選手、大谷翔平氏の通訳を長年務めてきた水原一平氏について、違法賭博に絡む窃盗に関わった疑いが浮上し、大谷選手が所属するロサンゼルス・ドジャースは水原氏を解雇した。

米スポーツ専門放送局ESPNによると、大谷氏の銀行口座から少なくとも450万ドル(約6億8000万円)が賭博の胴元に送金されたという。

大谷氏は不正行為に問われていない。

水原氏は19日、ESPNの取材に応じた。

大谷氏は20日に、ドジャース移籍後初のレギュラーシーズンの試合に出場したばかり。

ドジャースの広報はBBCに、情報を収集中だとしたが、「通訳である水原一平氏の契約が打ち切られたことは言える」と述べた。

スポーツ賭博はアメリカの38州で合法だが、ロサンゼルスがあるカリフォルニア州では違法となっている。

MLBは独自のポリシーで、「選手、審判、チーム、リーグの関係者や従業員」が野球で賭けをすることや、違法な賭博で賭けをすることを禁止している。

説明が変遷

ESPNは、マシュー・ボイヤー氏が運営する賭博業者に昨年9月と10月の1回ずつ、大谷氏の名義で50万ドルが支払われたことを示す銀行の情報を確認したと報じた。

米紙ロサンゼルス・タイムズによると、ボイヤー氏は、数百万ドル規模の違法スポーツ賭博を追う検察当局の捜査を受けたが、罪に問われてはいない。

水原氏はインタビュー取材の際、ギャンブルでの借金について大谷氏に助けを求めたと述べ、次のように説明したとされる。

「(大谷氏は)明らかに喜びはせず、私が二度とこうしたことをしないよう助けると言った」

「翔平は賭博に全く関わっていないことを分かってほしい。また、私がこれを違法だと知らなかったと分かってほしい。私は痛みを伴う方法で教訓を得た。もう二度とスポーツ賭博はしない」

大谷氏の広報担当は当初、同氏が水原氏のギャンブルでの借金を肩代わりするために資金を振り込んだとESPNに話した。しかしその後、その説明を撤回した。

水原氏も説明を変えたと報じられている。現在では大谷氏について、水原氏のギャンブルでの借金については知らされておらず、送金もしていなかったと述べているという。

ロサンゼルス・タイムズは、大谷氏の弁護士のバーク・ブレトラー氏が、水原氏が「大規模な窃盗」に関わったと非難しているしていると報じている。

報道によるとブレトラー弁護士は、「最近、メディアからの問い合わせに対応するなかで、翔平が大規模な窃盗の被害に遭っていることが判明した。この問題は当局に引き渡している」との声明を出したという。BBCは、ブレトラー氏が所属するウエスト・ハリウッドの法律事務所に確認を求めている。

大谷氏はアメリカン・リーグのMVPを2度受賞した。ドジャースとは昨年12月、10年総額7億ドルの契約を結んだ。

MLBでは2018年からプレーしており、常に水原氏が行動を共にしてきた。水原氏と同氏の妻は最近、大谷氏と妻の田中真美子氏と一緒に写真に写っていた。この写真により、大谷氏の妻が誰なのかという数週間の憶測にピリオドが打たれた。

大谷氏のコメントを自然な英語に訳す水原氏の能力は、日本で広く称賛されてきた。

追加取材:マッテア・ブバロ

(英語記事 Shohei Ohtani's interpreter fired after reports of theft

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