E級審判ライセンスを持つ英語ペラペラのWリーグ好きアイドルCANDY TUNE福山梨乃

昨年、日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞したFRUITS ZIPPERの妹グループCANDY TUNE。そこに所属する福山梨乃さんはバスケ好きが高じ、観戦のため北海道や沖縄に遠征するだけでなく、JBA公認E級審判ライセンスを取るまでに。また、帰国子女のため英語が堪能ということもありNBAの解説も理解できるというバスケにどっぷりハマる要素をたくさん持っている。その福山さんにバスケ愛をたっぷりと語ってもらった。

東京2020大会ベルギー戦を見て女子バスケの魅力にハマる

――福山さんが所属しているアイドルグループCANDY TUNEの紹介をお願いします。

「アソビシステムに所属していて、アイドル文化を原宿から世界に向けて発信するKAWAII LAB.(カワイイラボ)というプロジェクトで活動しています。私たちCANDY TUNEは2023年3月にデビューして最近1周年を迎えたばかりで、先輩グループには昨年の日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞されたFRUITS ZIPPERさん、後輩グループにはSWEET STEADYさんがいます」

――アソビシステムは、きゃりーぱみゅぱみゅさん、新しい学校のリーダーズなどコンセプトがユニークなアーティストさんが所属している事務所ですね。その中で、FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE、SWEET STEADYの3組は衣装も曲も「アイドル!」というイメージですが、CANDY TUNEの特徴を教えてください。

「色で言うと、ハッキリしたビビッドなイメージだと思っていただけると分かりやすいかなと思います。結構ギャルというか、明るい、うるさい、かわいいが詰まっています。FRUITS ZIPPERさんは清楚で王道なかわいいで、曲も令和っぽいものが多いのですが、私たちCANDY TUNEは元気めでパワフル、ガツガツ踊る曲が多かったりします」

――AKB48で例えると、アイドル王道のチームAに対し、体育会系のチームKという感じですね。

「あ、それが分かりやすいと思います(笑)」

7人組のCANDY TUNE、中列左の水色の衣装を着用しているのが福山さん

――そのCANDY TUNEに所属している福山さんは、バスケ大好きだとお聞きしています。

「バスケ経験はなく、スポーツもダンスをしていただけで、球技もやったことがありません。でも運動神経はいいほうで、スポーツ全般大好きなんですけど、バスケは苦手な分野です(笑)。ハマったきっかけは、東京2020オリンピックの女子バスケ、日本vsベルギー戦を見たことです(残り15.6秒で林咲希/現富士通が逆転3Pシュートを決めて日本が86‐85で勝利)。そのときに、女子バスケを観戦する面白さに初めて気づきました。そこから選手のかわいさにも気づいて、推し選手ができてハマっていったという感じです。ルールもボールがリングに入ったら得点というのがシンプルで、『あ!入った』『あ~入らなかった』と楽しめました。ファウルは『え!なんで今止められたの?』と難しいですが(笑)」

――たまたま東京2020オリンピックのバスケの試合を見たのですか?

「私、時事ネタが結構好きでニュースとかも追っているのですが、時差がない環境でオリンピックが見られるのは貴重な機会だと思って、当時はテレビでやっているほぼ全競技を見ていました。その中でハマったのが女子バスケだったんです。オリンピックが終わったあと、どうやら女子のWリーグが始まるらしいということを同じときにバスケ好きになった母が調べてくれて、アイドル活動がなかった年始に代々木競技場第二体育館に富士通レッドウェーブ対山梨クィーンビーズの試合を見に行きました。目的は、オリンピックで好きになった町田瑠唯(富士通)選手を見るためです。もともとアイドルを見ることが好きだったので、『本人が目の前にいる!』という感覚が強くて、正直、試合内容とか覚えていないんです(笑)。もう、ひたすら『かわいい!』と思いながら町田選手を目で追っていました(笑)」

東京2020オリンピックの女子バスケ、日本vsベルギー戦を見てバスケの魅力にハマったという

――Wリーグで推しは町田選手だけですか?

「ENEOSサンフラワーズの宮崎早織選手もです。ポイントガードが好きで、この2選手をメインで追っています。町田選手は常に冷静で、本当にノールックパスがスゴくて「え!今のどうなったの?」ということが多いので、リプレイ映像を流してほしいぐらいです。頭脳派なバスケをしていて、周りの選手をサポートしている感じがすごく好きです。宮崎選手は、速攻の際にスピードに乗っている躍動感がスゴいだけでなく、ディフェンスもうるさくてクセになるというか。ユラ(宮崎のコートネーム)さんにしかない、エンターテイメント性のあるバスケが魅力です。ほかに、町田選手の応援で富士通の試合はよく見ていたので、今回、メジャーリーグの大谷翔平選手と結婚した田中真美子選手のこともすごいセンターだな、と思っていて写真も撮っています」

――観戦するときは、どこから見ているのですか?

「ベストはベンチ側のコートエンドの最前です。そこだと写真もいいのが撮れるんですよ。というか、写真を撮るためにいい席を取りたいという感じです。もともと自分がアイドルのファンだったときもカメコ(カメラ小僧のこと)をしていて、初めてバスケの試合を見たときに『写真を撮っていいんだ!』と気づいてハマりました。撮ったものを自分で見て満足するタイプなのでSNSにアップしたりはしていないのですが、ユラさんには私が撮った写真をDMで送ったりしているのでたまにInstagramのストーリーに載せてくれたりしています。ユラさんは私のことをフォロバして下さって、私がアイドルをしているのを知っていてくださっています」

福山さんが撮影した宮崎早織選手(福山さん提供)

E級審判ライセンスを取ったことでバスケ観戦がより面白くなった

――福山さんは、JBA公認E級審判ライセンスを取られていますね。

「バスケのことを自分のSNSで発信するたびに、ファンの方から『でも、バスケやったことないんでしょ』『バスケのルール分かってないでしょ』というリプが来たり、『バスケの仕事をやりたいんです』と言っても『未経験でしょ。何ができるの?』と言われることが多くて…。でも私はハマるといろいろと調べてしまうクセがあって、ルールもある程度は理解していました。それを具体的に示せるものがないかなと調べていたら、E級審判ライセンスを見つけて『これを取ろう!』と思ったんです。新しいことを勉強するのは好きなので、楽しんで取ることができました」

――E級審判ライセンスはeラーニングを受講して、ルールテストを受けて、という流れですが、実際に受けてみてどうでしたか?

「講習が本当に分かりやすかったです。その中で、基本のルールは分かっていましたが、ピック&ロールなどの戦術を映像で抜き出して見せてくれたのが分かりやすくてよかったです。戦術は知っていましたが、実際の試合では流れの中で行っているので一瞬じゃないですか。バスケ経験者であれば、その動きが頭の中にある上で見ているのですぐに分かると思いますが、私はルールや用語のほうから入っていたので、それだけを取り上げた映像を見て『なるほど、解説の人が言っていたのはこのことだったのか!』と理解が深まりました。また、資格を取ってからは、審判の仕草で誰がどんなファウルをしたか分かるようになりましたね(笑)」

「JBA公認E級審判ライセンスを取ったことでバスケ観戦がより面白くなりました」

――今や富士通の町田選手を応援するために北海道の旭川へ、女子日本代表を見るために仙台へ、W杯男子日本代表を見るために沖縄へと遠征までされていますね。

「私がアイドルCANDY TUNEとして遠征するライブに来てくれるファンの方を見ているので、私の中で遠征へのハードルが低いんですよね(笑)。仕事の休みが直前まで分からないことが多く、土日に予定が空くことがほとんどないので、試合を見に行けるタイミングでチケットを取ったら遠征しなければならない場所だったということもあります。沖縄までW杯を見に行ったときは、もともと友人とどこかに旅行するつもりだったのですが、2次ラウンドのチケットが取れることが分かって、急きょチケットを取って見たのが日本対カーボベルデ共和国戦でした(日本が80‐71で勝利)。オリンピック出場を決めた瞬間を見ることができて感動しました。

応援している町田選手と宮崎選手のタオルを持って、直接対戦する富士通vsENEOSを観戦(福山さん提供)

――男子バスケも見るようになったのですね。

「私がWリーグについて語っていると、私のファンの方から『Bリーグも面白いよ』『○○選手を見てみて』『このポイントガードがいいよ』と布教されるんです(笑)。それで気になって、W杯を見に行ったら本当にもう全員の魅力に気づいてしまって、という感じです。特にプレーで目を引かれたのは、宇都宮ブレックスの比江島慎選手です。試合中のクリエイティブな感じのプレーと、オフコートの無口な感じのギャップがいいなと思っています。あとBリーグの試合を見に行くと『興行としてうまくやっているな』とも思います。規模が大きくて、エンタテインメント性もあって。

Wリーグに留まらず、Bリーグにも好奇心がかき立てられている福山さん

――単にバスケを楽しむだけでなく、そうした興行の面からもバスケを見てしまうのが福山さんの地頭のよさを示していると思いますが、福山さんは上智大学の外国語学部英語学科卒という学歴をお持ちですね。

「小学校5~6年生の2年間、アメリカの現地のスクールに通っていました。そこで読解力とリスニング力はついたかなと思います。あと、知らないことがあることがイヤなので、すぐ調べたりしちゃうんですよね。好奇心は、どのベクトルにもあります」

――英語も分かると、NBAやWNBAも追いかけられますね。

「町田選手がWNBAのワシントン・ミスティクスでプレーしていたときは、課金して配信を見ていました。解説が英語だったので、『英語をやっていてよかった』と思いました」

――好奇心の広がりがスゴいですが、そこまで手を広げると追いかけるのが大変ですね。

「そうなんです。BリーグとWリーグでどう回っていいのか問題があり、渡邊雄太選手や八村塁選手のNBAにも興味があり、冨永啓生選手のNCAAも気になってと、時間が足りないんです。でも、推しの選手が現役であるうちに現場でしっかり応援したいので、やっぱり町田選手と宮崎選手を追いかけるのがメインです」

――いろいろとバスケ愛を語っていただきありがとうございました。最後に、部活を頑張っている学生に向けて、CANDY TUNEのオススメの曲を教えてください。

「『hanamaru』です。内容は、自分を褒めてあげようね、というポジティブな曲で、充実した部活の後に聞くと『今日は頑張れた!』と思えますし、朝に聞くと『今日頑張ろう!』と思える曲です。自分で自分を応援する曲というのは珍しいと思いますが、学生や社会人のファンの方からも『これを聞いて今日も頑張ろうと思う』という声をいただくことが多いので、私たちの『hanamaru』を聞いて部活やお仕事を頑張ってほしいです」


Profile
福山梨乃(ふくやま・りの)
東京都出身
1997年12月24日生まれ
CANDY TUNEの水色担当
特技:ダンス、英語
趣味:バスケ観戦、アイドル、美容、ドライブ
X https://twitter.com/rino_ct1224
Instagram https://www.instagram.com/rinomaru_/

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