世界幸福度ランキング、西側諸国で若者が「不幸せ」に

世界各国の幸福度をランキングで示した国連の「世界幸福度報告書」2024年版が20日に発表された。30歳未満の若者が、中年期に陥りやすいとされるうつなどの心理的危機に相当する問題を経験していることが明らかになった。

「世界幸福度報告書」は毎年、世界各国の幸福度をランキングで発表している。今回初めて、年齢層別のデータを公表した。

それによると、欧米諸国では、若者の平均幸福度が低下している。アメリカは報告書の発表が始まって以来初めて、総合的に最も幸福な国トップ20から外れた。

30歳未満の幸福度(最高10、他の項目でも)では、リトアニアが7.756で1位。2位はイスラエル(7.667)、3位はセルビア(7.658)だった。

フィンランドは総合的に最も幸福な国ランキングで7年連続1位となったが、30歳未満の幸福度は7位(7.300)だった。30歳未満の幸福度では、イギリス(6.754)は32位、アメリカ(6.392)は62位、日本(6.232)は73位だった。

最も幸福度が高い国

総合的に最も幸福な国のトップ10は、新型コロナウイルスの世界的流行以前とほとんど変わっていない。首位は7年連続でフィンランドで、デンマークが僅差で続いた。北欧の全5カ国がトップ10入りしている。

11~20位の顔ぶれには変化がみられた。チェコやリトアニア、スロヴェニアといった東欧諸国の幸福度が上昇した。

イギリスは20位、アメリカは昨年より8位落として23位、日本は51位だった。

アメリカの順位が下がったのは、同国の30歳未満の幸福度が低下したことが要因だと、研究者たちは指摘している。

世代別の比較

世代別にみると、1965年以前に生まれた人は、1980年以降に生まれた人よりも平均して幸福度が高く、その差は年齢が上がるにつれて広がっていることが分かる。

ミレニアル世代(1980年代前半から1990年代半ば生まれ)では、年齢が上がるにつれて幸福度が低下する一方、ベビーブーム世代では年齢とともに幸福度も上がっている。

英オックスフォード大学ウェルビーイング研究所の所長で、「世界幸福度報告書」の編集長でもあるヤン・エマニュエル・デ・ネーヴ教授は、この調査結果は各国の政策決定者に警鐘を鳴らすものだと指摘した。

「特に北米と西欧で、不穏な(幸福度の)低下が記録された」

「世界の一部地域では、子供たちがすでに『ミッドライフ・クライシス』(中年の危機、40~50代ごろに心理的問題を抱えやすくなるとされる)に相当するような経験をしていることを考えると、早急な政策措置が必要だといえる」

企業の顧客満足度測定を支援する、フィンランドのHappyOrNot社のミイカ・マキタロ最高経営責任者(CEO)は、フィンランドが幸福度ランキングでうまくいっているのは、社会的信頼感と健全なワークライフバランスが確立しているからだと述べた。

「仕事は勤務時間内に限定されているので、自由時間を満喫できる。つまり、趣味に時間を使ったり、夕方に用事を済ますことができる。年次休暇は合計4~6週間取得できるので、自然の中で自分が楽しめることをして過ごすこともできる」と、同CEOはBBCに語った。

60歳以上の幸福度ランキング1位はデンマーク(7.916)。アメリカ(7.258)は10位、イギリス(6.812)は20位、日本(6.146)は36位だった。

世界で最も人口の多いインドでは、高齢であるほど人生に満足していることが分かった。

アフガニスタンとレバノンは、国別と世代別のランキング全てで、幸福度が最低水準だった。

「世界幸福度報告書」では、世界全体でみた場合の最も幸福度が高いグループは若い女性であることが示されたが、2位グループとの差はごくわずかだった。

一方、こうした差は中東や北アフリカでは大きかった。これらの地域では若者、とりわけ若い女性の間で幸福度が最も高かった。特にイスラエルで顕著だった。

中国では60歳以上(6.359)の方が30歳未満(5.949)よりも幸福度が高かった。

(英語記事 World Happiness Report: Young people in the West becoming unhappier

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