TOBE全員が集結した東京ドームで何が起きたのか? 本当の始まりと決意を告げた最終日を観て

3月14日から17日までの4日間、東京ドームにて開催された滝沢秀明によるTOBEに所属する全アーティストがステージに立った『to HEROes ~TOBE 1st Super Live~』。タイトルには、“この時代に生きる全員が「主役」であり、全員が「HERO」になれるように”という想いが込められている。

だからこそ、ライブでは一人ひとりの“HERO”にしっかりとスポットライトが当てられていた。TRAINEE(研修生)を含めたTOBE所属の全アーティストが集結し、Amazon Prime Videoの配信では、ステージ登場時にはグループ名だけでなく個人名も表示されていたという。新グループ「wink first」のお披露目を公演中に行ったのも、次の“HERO”が生まれる瞬間を私たちに届ける意味――誰もが“HERO”になれるというメッセージを伝えるためだったのだと思う。誰もがスポットライトを浴びて輝ける、そして誰しもが誰かにとっての“HERO”である。そんな想いが込められていたように、ライブを観て感じた。

3月17日の最終公演。オープニング映像ののち、メインステージに現れたのはIMP.。TOBE全体としても始まりの楽曲である「CRUISIN'」でライブをスタートし、ステージを移動して「SWITCHing」を届けた。

北山宏光はポップコーン片手にお茶目に登場したかと思うと、すぐにステージから姿を消し、次の瞬間に大型バイクに乗って再登場。そのまま外周を走りながら「JOKER」、ステージでは「乱心-RANSHIN-」を歌い、歌唱後には「最後まで一緒に楽しもうね!」と晴れやかな笑顔を見せた。

青色の幻想的な照明が彩る中で登場したのは三宅健。「BOY」で花道へと進み、時折ステップを踏みながら甘い歌声を響かす。「Ready To Dance」を歌唱した後は、「楽しんでいきましょうー!」と客席へ呼びかけた。

Number_iは「FUJI」を歌いながらリフトに乗って登場。富士山の頂上からステージに降り立つような驚きの演出のほか、平野紫耀の〈みんなピースで歌う Say〉、岸優太の〈ぶっちぎってくぜ〉という力のこもった歌唱からも、彼らの気合いが伝わってくる。曲の最後に神宮寺勇太がつぶやいたとおり、まさに「Number_i、ヤバすぎるでしょ」なステージを見せた。

「後輩ちゃん、カモン!」と神宮寺が呼びかけると、wink firstの5人(島田泰我、藤代翔真、松﨑光、川田瑠輝、小助川優)が登場して「CANDY」を元気いっぱいにパフォーマンス。続いて大東立樹も、TRAINEEとともに迫力あるダンスでフレッシュなステージを見せた。

ここでブラックの衣装に着替えたIMP.が再び登場し、「FLOW」、「I Got It」を披露。セルフタイトルチューン「IMP.」では、それぞれのメンバーカラーに染まったステージの上でまっすぐに歌声を届け、「SHAKE ME UP」では花道にちらばって360度全方位に向けて笑顔を見せる。セクシーさも、クールさも、明るさも、曲によってさまざまな表情を見せてくれるのがIMP.の魅力のひとつだ。「ROCKIN’PARTY」では7人全員がステージに集結し、激しいダンスパフォーマンスで自分たちのすべてを魅せていった。

「IMP. かっこよかったなあー」とアリーナから声が聞こえてくると、そこにいたのはパンダの被り物を身に着けた北山。どよめく客席たちの目の前を歩きながら、「これ、すごいよ。皆さん、世界配信されてますからね」とゆるやかなトークを繰り広げていく。こうやって、大きなステージにひとりで立っても常に遊び心を忘れないのが彼らしい。ステージで「赤い夜に」、「BET」を届けたあとは、自身主演ドラマ『君が獣になる前に』(テレビ東京系)の主題歌で今回の東京ドーム公演が初披露となった「THE BEAST」を歌い繋いでいく。ラストは「世界へお前らの声、聞かせてくれ!」と叫びながら、「NE:Ø era」を力強くパフォーマンスした。

白い衣装に身を包んで登場した大東は、バラード曲「消えないメロディー」を心を込めて歌い上げる。彼は、客席をじっくりと見渡しながら歌っていた。その姿は、ペンライトの光に包まれた美しい光景を噛みしめているように見えた。

ここからは、グループの垣根を越えたコラボレーションコーナー。まずは透明のボックスに入った神宮寺、影山拓也、横原悠毅、鈴木大河、松井奏が、ロボットダンスで会場を沸かす。テーブルやソファが並ぶセットに登場した平野は、ステージ上の小物を使いながらクールなダンスを披露。最後にドアを開けてステージから去ると、反対にドアから姿を現したのは岸。途中でバンダナを取り出して投げると、それを受け取った三宅とともにファンキーなダンスを展開していく。ふたりが最後にがっちりと手を取り合う様子が微笑ましい。夜の遊園地のような映像のなか、北山、基俊介、椿泰我、赤﨑渚人、松﨑光が息の合ったダンスを見せ、続いて佐藤新と大東が和傘や扇子を使ったパフォーマンスで会場を魅了する。

こうして13人がステージに集結して届けられたのは、令和6年能登半島地震を受けて発足したTOBEの支援プロジェクト「to HEROes Project -Act for HOPE-」のテーマソング「Be on Your side」だ。作詞はNumber_iが手掛けたという。〈この歌があなたに届きますように…〉――そんなストレートな願いの込められた歌は、聴いた多くの人を勇気づけてくれる。少なくとも、この日の歌はそうだった。

歌唱後にステージに残ったIMP.と北山は、配信でライブを観ている人たちに向けてスクショタイムを設けるなど、和やかなMCを展開していく。そこからバトンを受け取った三宅は、ダンサーとともに「mydoll」、「iDOLING」をパフォーマンス。「今日一番会いたい人に会えて、幸せですか?」と客席に問いかけ、自身も「会いたかった」と話す三宅。嬉しさを表すように、客席や配信のカメラに笑顔を向けながら「I’m good」、そして「ジェットコースター」を届けた。

Number_iは「Blow Your Cover」と「Rain or Shine」をしっとりとしたムードのなかで届けると、「Is it me?」では若干のお遊びモードに突入。岸が歌う横で平野と神宮寺が右手を挙げて同じポーズをとったり、神宮寺の歌唱パートの後ろで平野が「じんくん! じんくん!」と盛り上げたりと、グループとしての初ライブを楽しむ姿を存分に見せてくれた。「Midnight City」を歌い終えると、先ほどまでのにぎやかなムードとは一転、「GOAT」で圧巻のダンスを披露。音源よりも長めにアレンジされた〈GOAT〉部分では客席を煽り、会場の熱を一気に高める。そして、ステージを締めくくったのだった。

最後はカーテンコールのように、全アーティストがトロッコに乗って再登場。満面の笑みを浮かべるIMP.、「乱心-RANSHIN-」を一緒に歌う大東と北山、「ペンライトが本当にきれいでした!」と感謝を告げる三宅、平野の提案でパートをシャッフルした「GOAT」を歌い、最後まで会場を盛り上げるNumber_i。「僕たちは皆さんにとっての“HERO”になれましたか?」「そう言ってくれるみんなのことが、僕たちTOBE Familyは大好きだよ!」(佐藤)、「皆さんの明日が、僕たちのエンターテインメントで少しでも幸せになりますように」(北山)――そんな愛のある言葉とともに、それぞれのグループ、個人の魅力があふれたコンサートは終幕となった。

2023年3月にTOBEが発足してから約一年――そう、まだ一年なのだ。ゼロから始まり、たった一年でこれだけ多くの人を魅了するエンターテインメントを生み出したこと。全員が新たな一歩を踏み出した、その裏では計り知れない苦労と努力があったと思うし、本当に素晴らしいことだと思う。新たな一歩を踏み出したTOBE。三宅、北山、Number_i、IMP.は6月、東京・有明アリーナで各アーティストが単独コンサートという形で、また私たちの近くに戻ってきてくれる。そして、これからも私たちにとっての“HERO”であり続けてくれる。それを約束するための時間がこのライブだったのだ。

(文=かなざわまゆ)

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