会社が早期退職者を「4000万円」で募集しています。55歳で「年収400万円」なのですが、あと10年働くと考えると応募したほうが良いでしょうか? 退職後も十分に生活できますよね?

早期退職する際にはもらえる総額について考える

早期退職に応募すると、通常の退職金よりも割り増しされた退職金を受け取れるケースが多いですが、早期退職する際の金額と定年まで働いた際の総額について考えなければなりません。

仮に年収400万円で定年の65歳まで働いたとしたら、400万円×10年間=4000万円の収入があります。これだけを見ると早期退職したときと最終的にもらえる金額は変わらないように感じるかもしれませんが、65歳まで働いた際に退職金が年収の6年分もらえるならば、「400万円×6年=2400万円」がさらにプラスされることになります。

このように最終的にもらえる金額について試算し、早期退職したほうがいいのか働き続けたほうがいいのかを判断しましょう。ほかにも、会社員として働いているとなにかあった際に福利厚生が適用されるなどのメリットもあり、給与面だけを考えるのではなく総合的な部分を含めて計算することが大切です。

例えば、住宅手当をもらっている・社宅に住んでいる人などは、早期退職後は住宅費が一気に上がって支出が増えるかもしれません。

55歳で早期退職しても十分に生活はできる?

55歳で早期退職しても十分に生活できるかは人によって違います。退職する前に、毎月の支出などについてよく確認しましょう。早期退職してから65歳で年金受給するまでの10年間をどのように過ごすかが重要です。10年分の年収に当たる退職金を手にしても、それに頼って今までと同じ生活水準を維持していくことはおすすめできません。

会社員として働いている人は、原則65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給できますが、夫婦2人分の老齢基礎年金を含んだ標準的な年金額は「月額22万4482円(令和5年度分)」です。毎月の生活費がこの額を超えているなら、年金生活に入ると赤字になる可能性が高いので、それまでの10年間で生活水準を見直していく必要があるのです。

ほかにも、住宅ローンや車のローンなどがある人は毎月の支払いなども含めて、お金が足りるかを計算することが大切です。また、毎月ある程度決まっている支出以外にも、さまざまな突発的な出費が発生するケースも頭に入れておきましょう。

老後を考えると早期退職しても働いた方がいいケースが多い

55歳で早期退職して働かないと貯蓄だけが減少していく状況になるので、余裕がある間は気にならなくても貯蓄が少なくなると焦る気持ちが大きくなるかもしれません。実際にどのような場面でまとまったお金が必要になるかは予想しにくく、老後を考えると早期退職しても働いた方がいいケースが多いでしょう。

ただし、正社員で働いているときのようにフルタイムで働く以外にも、派遣社員や契約社員・アルバイトなどほかの働き方を検討してもいいでしょう。週に3日だけ朝から晩まで働く方法や、平日に毎日午前中だけ働く方法などさまざまなパターンがあります。

また、各種の収入や支出などを計算して金銭面に余裕がある場合でも、社会的なつながりを求めて働く人も少なくありません。

まとめ

金額面だけを見ると、早期退職して老後に年金だけで生活できる可能性はあります。しかし、いつ、どのような出費が必要になるかは予測しにくいことを考えると、早期退職後にも何らかの形で働くことを考えておくのがおすすめです。

また、早期退職する前には各種支払いなどについて試算して、毎月の支出と収入のバランスを確認してください。

出典

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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