気候変動で増殖中! 米西海岸に打ち上げられた謎の物体の正体とは?

By 佐藤まきこ

最近、米オレゴン州とカリフォルニア州の沿岸に透明の物体が打ち上げられています。砂浜のあちこちに見られる奇妙なこの物体の正体とは……?

↑何か知ってる?(画像提供/KGW News/YouTube)

透明のナマコのような、細長い物体。手のひらサイズのものから、ときには2m近くの長いものまで、大きさはさまざま。そんな奇妙な物体が最近、米国のビーチに打ち上げられ、あちこちで見られるというのです。

この正体は「パイロソーム」または「シーピクルス」と呼ばれるもの。「個虫(zooid)」と呼ばれる生き物が何千も集まって形成されたものだそう。ルシフェラーゼという酵素を持っていて、発光物質と反応するとホタルのように光を放つ特徴があります。おまけに、自分自身だけで子孫をつくる無性生殖が可能で、どんどん自身のクローンをつくることができるのだといいます。

研究者によると、パイロソームは普段、植物プランクトンをエサにして生息していますが、海水温の上昇によって増加しているようなのです。というのも、2013年に「ブロブ」と呼ばれる熱波で海水温が上昇したとき、サケ、タラ、ダンジネスクラブなどの数が減少し、漁業が制限される事態になったのですが、一方でパイロソームが増加したことがわかっています。

2024年2月の世界の平均気温が観測史上最も高かったことが発表され、9か月連続で世界の平均気温が高くなっている今日。海に打ち上げられた透明のパイロソームは、地球温暖化を警告するサインと言えるかもしれません。

【主な参考記事】

Daily Mail. Millions of transparent blob-like creatures are washing ashore on the West Coast due to warming oceans… do YOU know what they are?. March 19 2024

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