「知恵を借りながら対策を」安心安全な富士登山へ…山梨側の通行料義務化で静岡県は「不安と期待」

新型コロナの制限緩和で富士山の登山客が増加する中、弾丸登山を防ぐ対策などを話し合う会議が静岡県沼津市で開かれました。山梨県側では、2024年から通行料の支払いが義務化されることから、静岡県側では、登山客が増えることも予想され不安と期待の声があがっています。

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<静岡県富士山世界遺産課 大石正幸課長>
「山梨のように条例化による強制的な規制はできないものですから、静岡県としては皆さんの知恵を借りながら、対策を進めていきたいと考えている」

富士登山の課題を共有し、解決に向けて話し合うために開かれた静岡県の会議。富士山では、山小屋を予約せず夜通しで山頂を目指す「弾丸登山」を強行する客が相次ぎ、問題となっています。

3月21日は「弾丸登山」を防ぐための対策として、登山者に事前にWeb登録を求めるシステムを導入するための社会実験を行うことを明らかにしました。このシステムでは、山小屋の宿泊予約などの入力が必要で、各登山口で係員による確認が行われます。

一方、山梨県は2024年の夏から登山道の「吉田ルート」で通行料として一人2000円徴収することを義務化します。こうした状況から「静岡県側にさらに多くの登山客が流れ込むのでは」という不安の声があがっています。

<表富士宮口登山組合 池田裕之さん>
「強制力がないところが不安で、現状、人は止まらないで来ちゃう。困るのは上の方。トラブルの人たちが来ちゃって、どうしようかと悩まされるのではないかと思う」

一方、登山客が増えることを期待している人もいます。

<店員>
「お待たせいたしました。こちらが、みくりやそば天ぷらセット、おいなりさん付きでございます」

御殿場の伝統的な家庭料理「みくりやそば」が人気の道の駅すばしり。登山シーズンには、今の時期の4~5倍ほどの観光客が訪れるといいます。

<道の駅すばしり 大墨航平さん>
「こちらが、道の駅すばしりで一番人気のソフトクリーム、富士山ソフトクリームです」

ほんのり塩味の甘じょっぱさが特徴の富士山ソフトは登山シーズンに大人気の商品。富士山周辺の施設にとっては、この機会を観光客増加につながる大きなチャンスと捉えています。

<道の駅すばしり 森政人駅長>
「インバウンドのお客様、富士登山のお客様が今後、ますます多く訪れることが見込まれますので、富士登山客の発信基地として大いに盛り上がることを期待しています」

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