「いつまた来るのか」「怖い」…米軍オスプレイ飛行再開から1週間 訓練ルート上の住民は不安募る

(資料写真)

 在日米軍が輸送機オスプレイの飛行を再開して21日で1週間が経過した。この日は陸上自衛隊も米軍を追随する形で飛行を再開。昨年11月には月間22回、米軍機とみられる70デシベル(主要幹線道路周辺に相当)以上の騒音が発生していた鹿児島県奄美市名瀬知名瀬では飛行停止期間中の騒音が月1~4回に激減した。オスプレイが低空飛行で頻繁に近づく住民は「いつまた来るのか」「怖い」と不安を募らせる。

 奄美大島中部、東シナ海に面する地区には2020年ごろから飛来が相次ぐ。住民によると、飛来するのはオスプレイのほかC130輸送機に似た機体。オスプレイは2機編成が多い。

 九州防衛局は昨年4月から知名瀬集会場屋上に自動測定装置を設置、70デシベル以上の騒音を測定する。公表データによると、騒音は昨年4月~同11月末まで月平均8.8回。7月には最大88.2デシベル(パチンコ店内相当)も観測した。一方、飛行停止した同12月~今年2月末までは月平均2.3回に減った。

 知名瀬地区に約60年暮らす女性(82)は「オスプレイは家に向かってくると思うほどの低さ。騒音もひどい。幼少期に受けた空襲を思い出す」と話す。「最近やっと静かになったのに。沖縄の不安がよく分かる。集落の上をまた当たり前に飛ぶと思うと恐ろしい」

 奄美大島には非公表のオスプレイの低空飛行訓練ルートが確認されている。高さ200メートルほどの山よりも低く飛ぶルートが恒常化していた。障害者支援施設の奥田敏文施設長(64)は「慣れていた面があったが、屋久島の事故で不安が増した。詳しい原因も分からず、住民は無事を祈るしかないのか。とにかく安全を優先して」と不安を口にした。

 九州防衛局は「騒音だけでは特定はできないが、米軍機と思われる騒音が測定されている。米側に対し地域への影響が最小限となるよう求めていく」とコメントした。

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