次の映像化作品はどれだ!…「週刊ヤングジャンプ」で連載されている野球漫画たち

気になる人気の野球漫画とは ※画像はイメージです・記事中の作品との関係はありません(s_fukumura/stock.adobe.com)

2024年3月現在、集英社の「週刊ヤングジャンプ」では、3つの野球漫画が連載されています。同一雑誌のなかで同じスポーツを扱う漫画が3作品も連載されているのは珍しいケースです。しかもどの作品もかなりの人気作品であり、アニメや実写になる可能性が高いといえるでしょう。

BUNGO―ブンゴ―

例えば、2015年から掲載されている『BUNGO―ブンゴ―』(作:二宮裕次)は、学校の部活ではなくシニア野球チームを舞台としており注目を集めています。主人公・石浜文吾は、ひとつのことに夢中になると周りが見えない性格の持ち主。一日中金魚を見ている文吾を見かねた父親は、野球のボールを買い与えます。すると今度は壁当てに夢中になり、台風が来るなかでも家族の制止を振り切って腕を振り続けていました。

ある日、文吾は少年野球日本代表に選ばれるほどの実力者・野田幸雄と遭遇。ひょんなことから彼と対戦した文吾は、2ストライクまで追い込むものの3球目でホームランを打たれてしまいます。負けず嫌いの文吾は、ここから野田を追いかけることを決意します。

その後、中学生になった文吾は野田と再戦するため、中学の軟式野球部には所属せず野田が所属している硬式野球シニアチームに入るのでした。文吾は持ち前の集中力と周囲が驚くほどの練習量で、めきめきと実力を付けていきます。先輩とのやり取りや、仲間との友情もあってチームの大黒柱へと成長し、高校野球界からも注目される選手になるのです。

甲子園を目指す高校野球の漫画が多いなか、中学シニアチームを舞台にした同作。野球漫画の中でも珍しい題材のため、映像化される可能性は十分にあるでしょう。

4軍くん(仮)

また2022年から連載されている『4軍くん(仮)』(原作:森高夕次、作画:末広光)は、大学野球を舞台にした作品です。

同作は高校時代に「都立の星」と呼ばれ、将来を期待された主人公・荻島航平が、進学先の大学では4軍に配属されてしまうところから始まります。航平が配属された4軍は、グラウンドの整備をさせられたり、1~3軍から虫けら扱いされたりと、過酷な環境に置かれていました。

そんな環境で航平は4軍の仲間に声をかけて、下剋上を果たすべく練習に励みます。かつては「都立の星」と呼ばれたエリートが、恵まれない環境の中で知恵を駆使して仲間とともに、3軍との入れ替え戦、さらには2軍との入れ替え戦に臨む姿は見ごたえがあります。

『4軍くん(仮)』の原作者・森高夕次氏が原作を務めるアニメ化作品『グラゼニ』のキービジュアル(C)森高夕次・アダチケイジ/スカパー!・講談社

ちなみに同作の原作者・森高夕次氏は、プロ野球の世界を「お金」をテーマに描いた『グラゼニ』シリーズの原作者です。逆境に立たされた主人公が格上の相手を倒すために、チームメイトがそれぞれの個性を最大限に活用していく様子は、彼がコージィ城倉というペンネームで描いた作品『おれはキャプテン』シリーズにも通じる部分があります。また、大学野球を扱った作品も多くはないので、映像化されれば注目が集まる可能性が高いです。

ダイヤモンドの功罪

最後は、筆者が3作品のなかで最も映像化される可能性が高いと考える『ダイヤモンドの功罪』(作:平井大橋)です。というのも、2023年に連載が始まったばかりの同作が、宝島社の「このマンガがすごい!2024」オトコ編で1位に選ばれているからです。過去にこの賞に選ばれた『チェンソーマン』(著:藤本タツキ)(2021 オトコ編)や『SPY×FAMILY』(著:遠藤達哉)(2020 オトコ編)がアニメ化されていることから、この可能性は低くないでしょう。

運動神経抜群で、どんなスポーツもすぐにコツを掴んで上達してしまう主人公・綾瀬川次郎。その上達っぷりから、テニスクラブでも水泳クラブでもすぐに大人たちからは「未来のオリンピック候補」としてちやほやされるが、周囲の同年代の子どもたちからは疎まれ、次郎は純粋にスポーツを楽しめないでいました。

そんな次郎は、ある日、楽しいをモットーにした弱小・少年野球チーム「バンビーズ」を見つけ、「ここなら楽しくスポーツができそう」と期待しながらチーム入りします。しかし次郎はバンビーズでも、動画で投げ方を見ただけで変化球を体得するなど無自覚に才能を監督に見せてしまうことから、「楽しい野球」は徐々に形を変えていきます。

本作のファンからは「このマンガがすごい!2024」の受賞をきっかけに「早くアニメ化してほしい」「アニメ化した時の声優はだれがいいかな」といったアニメ化を期待する声や、「ものすごく感情が揺さぶられるけど面白い」「ヒューマンドラマとして見てもレベルが高い」のように、次郎の楽しくスポーツを楽しみたいという心が、野球のプロを目指す仲間たちと対立する心理描写への評価の声が多くあがっていました。

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2024年のプロ野球シーズンもスタートし野球への関心が高まるなか、これらの作品が映像化される可能性は十分にあります。実際に映像化される日を楽しみに待ちましょう。

(海川 まこと/漫画収集家)

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