水戸京成百貨店元社長を追送検 雇調金 10億円超詐取疑い 茨城県警

水戸京成百貨店=水戸市泉町

水戸京成百貨店(茨城県水戸市)を巡る国の新型コロナウイルス対策の雇用調整助成金詐取事件で、茨城県警は21日、詐欺容疑で、元社長の千葉県柏市、斎藤貢被告(66)=詐欺罪で起訴=を水戸地検に追送致し、社員ら5人を書類送致したと発表した。計約10億7100万円の被害を裏付けたとしている。送検と書類送検はいずれも19日付。元トップの斎藤被告の刑事責任の解明は法廷に舞台を移す。

書類送検されたのは、元総務部長の茨城県常陸大宮市、被告の男(58)と、28~52歳の社員の男女4人。県警捜査2課は6人の認否を明らかにしていない。

茨城県警によると、6人は共謀し、2020年4月11日から22年8月10日にかけ、百貨店の従業員について休業日数を水増しし、虚偽の申請書を茨城労働局に提出して、助成金を同社名義の口座に振り込ませてだまし取った疑いが持たれている。

同課によると、受給額は計10億7100万円で、水増し分が約2億6000万円に上っていたことを裏付けた。改ざんされた延べ人数は5087人。

斎藤容疑者と元総務部長は既に20年4~7月分の不正な申請について詐欺罪で起訴、追起訴されている。捜査関係者によると、斎藤容疑者が元総務部長に不正受給を指示し、総務部の人事担当者らが虚偽の申請書を作成、申請していた。斎藤容疑者は容疑を否認し、元総務部長は休業日数の水増しを認めているという。

同課によると、斎藤容疑者は20年4月から、退任する直前の21年5月10日までの不正に関与したとされる。捜査関係者によると、元総務部長は起訴前の事情聴取に対し、「斎藤容疑者から、社長が代わっても不正を続けろと指示された」と説明していたという。だが、同課は社長交代後の期間について、斎藤容疑者や後任の芹沢弘之前社長の関与を「認定できなかった」としている。

水戸京成百貨店は茨城新聞の取材に対し「改めて深くおわび申し上げる。二度とこのような事態を引き起こさないよう、コンプライアンス体制等の強化を図っており、皆さまからの信頼回復に努める」とコメントした。

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