被災を経験し、改めて備えたい『災害時に役立つ常備品&防災めし』

災害時に役立つ常備品や停電のときに役立つ防災めし!もしもの備え、どうしていますか?海上保安庁の巡視船で働いていた川﨑さん。その経験を生かし、限られた環境、予算の中でも暮らしを楽しむ工夫を教えてもらいます。

西日本豪雨災害で被災した経験が、防災意識を高めるきっかけに

わが家は、18年に起きた西日本豪雨災害で被災した経験があります。電気・ガスはすぐ使えたのですが、断水が1カ月も続きました。給水車はすぐ近くまでは来てくれず、遠くまで井戸水をもらいに行くなど、本当に苦労しました。それ以降、防災グッズの備えを強化するように。保存がきく食品の活用や、その場にある物で代用する智恵は、海保時代の経験が生きていると思います。災害は、いつどこで、どんな状況で起こるかわかりません。いざというときの備えをしておいてムダなことはないと、改めて実感しています。

防災食は、食べ慣れている物をローリングストックで常備

缶詰や瓶詰など調理なしですぐ食べられる物のほか、お菓子、野菜ジュースなどをストック。「これらの食品を普段から使って、減ったら補充するローリングストックなら、いざというときに賞味期限が切れているというムダをなくせます」。

家に常備している物

■ 食料品(無洗米、餅、パスタ、缶詰、瓶詰、乾物、ナッツ、お菓子など)
腹持ちがいい米や餅、パスタは必須。ナッツは塩分の補給に。災害時の子どものストレス軽減のため、好きなお菓子も常備しています。

■ 飲料水、お茶、小サイズの野菜ジュース
被災したとき水の必要性を実感したので、2L×6本×8ケース常備。避難中は野菜不足になるので野菜ジュースも。子どもが飲みやすい小サイズの缶や紙パックがおすすめ。

■ 紙皿、紙コップ、割り箸
食器があっても、水で洗えない状況だとかえって不衛生。使い捨ての紙皿やコップ、割り箸を多めに常備しています。

■ 耐冷・耐熱仕様ポリ袋(アイラップ)
■ 卓上コンロ、ガスボンベ
■ ビニール袋(黒)
■ 紙おむつ
■ トイレットペーパー

※写真の食品、飲料は、常備品の一例です。

トイレ代わりに使う黒のビニール袋を多めに。紙おむつも吸水に使えるので便利。トイレットペーパーは車にも常備しています。

外出先での“もしも”に備える防災ボトルを持ち歩くと安心

警視庁災害対策課が発信したことで広まった「防災ボトル」。「中に入れる物は人それぞれで変えてもOKですが、スマホが使えなくなったときの緊急連絡先と小銭があれば安心。わが家は、車の中にも置いています」。

ボトルに入れる物

■ 除菌シート
■ 圧縮タオル
■ ビニール袋(透明、黒)
■ 歯ブラシ
■ ばんそうこう
■ 生理用品
■ 常備薬
■ 小銭(100円×5枚)
■ ペン
■ 緊急連絡先などのメモ

こんな物もあれば便利
■ ホイッスル
■ 一口ようかん(非常食)

停電のときに役立つ!常備品で作る防災めし

災害時は缶詰など冷たい食品に偏りがち。「電気、ガスが使えないときも、卓上コンロでお湯を沸かせれば温かいごはんやスープものが食べられ、気持ちもホッとできます」。

スープ

お湯+乾物ですぐできる!
ライスペーパーを刻んで麺代わりに。

(1)カップに、はさみで細く切ったライスペーパーを入れる。

(2)瓶詰のなめたけ、乾燥わかめ、顆粒だし、(あれば)梅干し各適量を加え、お湯を注ぐ。

ガス&水を節約する調理テク

「卓上コンロを使う場合も、ガスや水はなるべく節約したいもの。米やパスタを水と一緒にポリ袋に入れて吸水させ、鍋で湯せんする方法なら最小限で済みます」。

炊き込みご飯

(1)無洗米3合+炊き込みご飯の素、水650mlを耐冷・耐熱仕様ポリ袋に入れ、1~2時間(冬は2時間以上)おく。

(2)鍋底に皿を置いて、お湯を沸かし、(1)の袋を入れて、中火で約30分湯せんする。

パスタ

(1)半分に折ったパスタ100gを耐冷・耐熱仕様ポリ袋に入れ、パスタが浸るくらい水を加えて、約2時間おく。

(2)鍋にお湯を沸かし、(1)の袋と、パスタソースの素(パウチ)を入れて、中火で約5分湯せんする。

こんな防災対策も!子どもたちと実践している「小銭&0円防災」

災害が起こった時、必ず家族が一緒にいるとは限らないので、さまざまなシーンを想定して対策。防災グッズを備えるだけでなく、お金をかけずに、生活の中で習慣化し、防災を意識することを実践しています。
子どもたちには、災害時に必要な情報と小銭を入れた袋を持たせています。

小銭防災1 自販機で飲み物を買ってみる

普段子どもたちは水筒を持ち歩いているので、自販機を使う機会がほとんどありません。災害時は外で買う必要もあると思い、経験させました。

小銭防災2 公衆電話を使う練習をする

公衆電話は停電時でも電話をかけることができます。子どもたちは一度も公衆電話を使ったことがなかったので、まず場所の確認と、電話のかけ方を教えました。

0円防災1 最新の避難場所と家からの経路をチェックする

住んでいる地域の避難場所を家族で共有。避難場所は変更になることもあるので、地域の広報紙などをチェックし、散歩がてら避難経路の確認を。

<教えてくれた人>
サンキュ!Styleライター 川﨑みささん
船舶料理士の資格を持ち、巡視船で食事作りを担当。19年に退職し、専業主婦に。「23年サンキュ!やりくりコンテスト」でやりくりスター賞を受賞!インスタ@chokin.misa

参照:『サンキュ!』2024年4月号「暮らしを楽しむ海保式ライフハック」より。掲載している情報は2024年2月現在のものです。撮影/キムアルム 構成・文/宮原元美 編集/サンキュ!編集部

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