北朝鮮、感染症に厳格対応 医療不安で実態以上に警戒

2022年6月、「急性腸内性感染症」が発生した北朝鮮黄海南道海州市に送る薬品を準備する金正恩朝鮮労働党総書記(右)と李雪主夫人(朝鮮中央通信=共同)

 【北京共同】26日に予定されていたサッカー男子の日朝戦の平壌開催を土壇場で見送った北朝鮮は医療体制に不安を抱え、新型コロナが流行した2020年に国境の往来を事実上封鎖するなど感染症に極めて厳しい対応を取ってきた。国営メディアは21日、日本で「悪性伝染病」が広まっていると報道。日本での実態以上に強い警戒心を抱いているもようだ。

 北朝鮮は致死率が約30%とされる劇症型溶血性レンサ球菌感染症の拡大を懸念しているとみられる。日本国内の報告数は昨年、記録のある1999年以降で過去最多となった。北朝鮮メディアは感染経路がコロナと類似しており、既に日本各地に拡散していると伝えた。

 英国や韓国のメディアは今月中旬、この感染症が日本で急増していると報じた。北朝鮮は従来、世界の感染症動向に敏感で、他国の報道に触発された可能性もある。

 北朝鮮は最近になって平壌や北部慈江道など各地で総合病院の建設を急いでいる。市民間の感染を食い止められなければ最高指導者の金正恩朝鮮労働党総書記の健康問題につながりかねないとの懸念もある。

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