一関・大籠の殉教 絵本に 日韓で販売2カ国語併記 東北研究会

大籠のキリシタン殉教の歴史を紹介する絵本「大籠殉教物語」。本文は日本語と韓国語で併記している

 東北殉教歴史研究会(仙台市)は2023年度、キリシタンが殉教した一関市藤沢町大籠の歴史を紹介する絵本「大籠殉教物語」を発行した。全文を日本語と韓国語で併記。大籠の歴史を広め、各関連史跡が末永く保存される機運につなげようと、国内のほかキリスト教徒が多い韓国でも販売している。

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 同会は殉教の歴史に関心を持つ日韓の信徒約10人で活動。絵本は、カトリック、プロテスタントの別なく信仰史を語り継ごうと製作。九州で韓国の信徒による巡礼ツアーが観光産業として成り立っている現状を受け、大籠や隣接地で関連史跡がある宮城県登米市の米川地区でのツアー受け入れの素地づくりに協力したい意図もある。

 絵本はA4判、32ページ。地元の「大籠たたら製鉄とキリシタン殉教史跡保存会」の監修を受けてまとめた。戦国時代に地区の産業だった製鉄を振興するため、キリシタンでもあった技術者を招いて教えが広まったこと、江戸時代に禁教令が厳しくなり、300人以上が殉教したことなどを順にたどっている。

 ソフトな画調や、ページを開いたままにしやすい特殊なとじ方など、子どもが読みやすいように工夫を施した。巻末には大籠と米川の関連史跡を地図、写真とともに紹介している。収益の一部は史跡保存・伝承のため活用される。

 税込み1500円。国内では大籠キリシタン資料館で販売し、電話や電子メールを通じた通信販売にも応じている。送料は購入者負担。

© 岩手日日新聞社