「輝」水揚げ今季4匹 過去最少、昨季の4分の1

今季第1号となった加能ガニの最高級ブランド「輝」=昨年11月9日、金沢市のかなざわ総合市場

  ●加能ガニ、ブランド3年目

  ●能登は地震で出漁できず 

  ●しけ影響、操業日少なく 

 20日に今季の漁期が終了した県産ズワイガニの雄「加能ガニ」のうち、最高級ブランド「輝」の水揚げ数が4匹と過去最少だったことが県漁協への取材で分かった。「輝」ブランドを設定して3年目の今季は能登半島地震の影響で奥能登の底引き網漁がほぼできなかった上、しけで出漁できない日が目立ち、昨季の16匹と比べて4分の1に落ち込んだ。県漁協は被災した漁師が早期になりわいを再開できるよう県とともに支援し、来季の復調を期す方針だ。

 今季の「輝」4匹を、水揚げした船の所属支所別にみると、金沢と金沢港が各1匹、すずが2匹だった。昨年11月9日の今季第1号には300万円の値が付いた。

 輝は県漁協が2021年に設けた。11月6日~3月20日の漁期に水揚げされた加能ガニのうち、重量1.5キロ以上や甲羅幅14.5センチ以上、全ての脚があるなどの厳しい条件を満たしたものが選ばれる。1年目の2021年度は9匹だった。

 県漁協によると、今季は元日の地震により珠洲や輪島の港湾施設が損壊し、漁ができない状態となった。輪島市小型底引き組合の沖崎勝敏会長は「年末まで例年並の水揚げだったが、何もできなくなった。悔しい」と語る。

 被災が少なかった船も悪天候に苦戦した。県底曳網漁業連合会の橋本勝寿会長(加賀市)は「今季は例年の5~6割程度の日数しか出漁できなかった」と振り返る。

 日本近海のズワイガニは昨季から資源量が回復傾向にあるとされる。橋本会長は、出漁1回当たりの水揚げ量でみれば今季も好調だったとし、「全体の水揚げ量は昨季と比べてもひどい落ち込みにはならないのではないか。近年の資源保護の効果が出ている」とも語った。

 県漁協や県では、被災した事業者に漁船や漁具の再取得を支援するメニューを紹介し、活用を呼び掛けている。橋本会長も「能登の底引き網漁船が通常通り操業できる体制に戻すことが一番大事だ」と述べた。

  ●コウバコ「輝姫」36匹

 雄に比べて漁期が12月29日までと短いコウバコガニの最高規格「輝姫(かがやきひめ)」は36匹で、デビューした昨季の61匹から大きく減少した。

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