【セルジオ越後】ドイツ相手に4点を奪った攻撃力はどこに? 北朝鮮が健闘したというより日本が不甲斐なかった

北中米ワールドカップのアジア2次予選で、森保ジャパンは北朝鮮と国立で対戦。1-0で勝利した。

開始2分に勢いのある攻撃から田中のゴールで先制。ホームチームらしい立ち上がりだったけど、徐々にペースダウンしてしまった。

後半になると、ギアを一段階上げて気合の入ったプレーをしてきた北朝鮮に押し込まれた。北朝鮮はFIFAランキングが114位で、18位の日本とは大差がある。しかも、プロリーグがなく国際経験も少ない。そんな格下のチームが、ある程度ラフになるのは仕方ない面があるけど、日本もそれに付き合う形になってしまった。

互いに、ボールの蹴り合いに終始。気持ちばかりが前面に出て、パスワークや展開力といったサッカーの魅力が見られない。内容は乏しかった。

日本は攻撃の時にグラウンドを狭く使う形になり、サイドチェンジなどが少なく、ダイレクトパスや組み立ても上手くいかなかった。だから、相手は厳しい守備をすれば対応できた。ドイツ相手に4点を奪った攻撃力はどこに行ってしまったのか。

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後半に遠藤や谷口を投入したのは、守備を重視したからに見えた。森保監督が終了間際にしきりに時計を見ていたのも気になった。何とか逃げ切って、やれやれといった感じだった。

北朝鮮のレベルは想定内で、相手が健闘したというよりは日本が不甲斐なかったと言っていいだろう。横綱になれなかったね。

残念ながら、イラクとイランに敗れてベスト8に終わったアジアカップで得た教訓を活かせていなかった。攻守ともに課題が多く残った。アジアの2次予選で苦しんでいるようでは、ワールドカップのベスト8は難しいよ。

次は平壌での試合が予定されていたけど、中止になった。中立地での開催になるのかな。試合ができるとしたら、勝利は最低限のノルマ。しっかりと力の差を見せつけてほしいね。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、78歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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