凍結ロシア資産収益、数カ月以内にウクライナ支援充当も=EU首脳

Andrew Gray Gabriela Baczynska Andreas Rinke

[ブリュッセル 21日 ロイター] - 欧州連合(EU)首脳らは21日、凍結されたロシア資産から得られる収益を数カ月以内にウクライナ支援に充てることが可能との認識を示した。

EUはこの日から2日間の日程でブリュッセルで首脳会議を開始。執行機関である欧州委員会が今週発表した計画の作業を進めることに合意した。

EUのミシェル大統領は記者団に対し「非常に迅速に行動できると確信している」と述べた。

フォンデアライエン欧州委員長は、このスキームによる最初の10億ユーロ(10億9000万ドル)が早ければ7月1日にも支出される可能性があると述べた。

欧州委は、凍結ロシア資産から得られる収益の90%をEUが運営する基金に移し、ウクライナ向け武器のための資金に充てることを提案。残りの10%はウクライナの予算援助に充てられる。収益は年間25億─30億ユーロになると見積もっている。

ロシアが窃盗と表現する欧州委の提案について、ミシェル、フォンデアライエン両氏はEU各国政府の間で幅広い支持を得ているとしている。

ただ、マルタ、オーストリア、アイルランドといった非同盟による軍事的中立国を含む一部の国は、資金を武器購入に充てることを問題視。ネハンマー・オーストリア首相は「われわれ中立国が承認した資金が武器や弾薬に使われないようにしなければならない」と述べた。

ミシェル氏は、これらの国々の懸念に配慮した方法を見いだすことは可能だと述べた。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領はEU首脳会議にビデオ形式で参加し、凍結されたロシア資産から得られる収益に加え、凍結資産そのものもウクライナ支援に充てるよう呼びかけた。

「ロシアは戦争の真の代償と公正な平和の必要性を感じなければならない」と述べた。

EUは凍結ロシア資産そのものをウクライナ支援に充てることは検討していない。

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