大阪府/安威川ダム(茨木市)が完成、ロックフィルで北摂の安全確保

大阪府が建設を進めてきた安威川ダム(茨木市生保・大門寺・安威)が完成した。20日、現地で関係者116人が参加した完成式典を開き、死傷者61人を出した1967年の北摂豪雨を機に計画された中央コア型ロックフィルダムの完成を祝った。ダム本体建設に着手したのは2014年。本体建設工事は大林組・前田建設・奥村組・日本国土開発JVが施工。堤高は76・5メートルで、堤頂長は337・5メートル。総貯水容量は1800万立方メートルに及ぶ。100年に一度発生すると想定される豪雨でも下流の河川が氾濫しない機能を備える。
式典で吉村洋文知事は「土地を提供し、事業に協力いただいた皆さんに感謝する。ダム建設計画が始まってからも紆余(うよ)曲折があったが、14年に着工し、完成を迎えられた。ダムは流域の皆さんの命と財産、安全を守る。都市近郊のダムだ。にぎわいづくりとまちづくりもスタートする」とあいさつ。府安威川ダム建設事務所の田中博所長は事業の経過を報告し「支援・協力いただいたすべての方々に改めて感謝し、ダムが流域治水の要と地域のシンボルとして愛されることを願う」と語った。
小鑓隆史国土交通政務官は「豪雨災害が激甚化する中、安威川ダムは流域治水の一翼を担う。流域の皆さんの生活がより安全・安心になると確信している」と祝辞を述べた。
吉村知事らが万歳三唱し、くす玉を開き、ダム建設事業の完了を祝った。
22年8月に主要施設が完成し、試験湛水を開始したのは同9月5日。23年5月7日からの大雨で貯水が同5月8日に非常用洪水吐きの最上部、サーチャージ水位(125メートル)へ到達、貯留量を超えたため、非常用洪水吐きから越流を開始した。サーチャージ水位を24時間維持した後、同5月10日からダムの水位を下げ、同6月15日にダム機能を確認し試験湛水を終えた。同9月からダムの運用を始めた。
大林組JVは、ICT土工などの最新技術を投入し、施工の省力化・高度化に取り組んできた。
ダムを生かす事業も地域で始動する。地元・茨木市はダムのロケーションを生かし、市北部地域の活性化を担う拠点「ダムパークいばきた」を進める。一部は4月にオープンする予定だ。

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