西日本高速道路/工事管理スリム化ガイド策定、週休2日原則に書類簡素化

西日本高速道路会社は働き方改革と工事の円滑化に向けた取り組みをまとめた「工事管理スリム化ガイド(4-you)」を策定した。4月に時間外労働の罰則付き上限規制が建設業に適用されるのを受け、週休2日を原則とした適正な工期を確保した上で、照査体制の強化や工事書類の簡素化、施工管理の効率化・省力化で生産性を向上させる。受発注者の役割分担を明確化して迅速な意思決定につなげるなど業務のさらなる適正化を図る。受発注者双方が発議できる「工事変更等検討会」も導入する。
スリム化ガイドは「設計図書の品質向上」「適正な工期の確保」「書類作成の軽減」「施工管理の効率化・省力化」の四つの施策を柱に、西日本高速会社が制定・実施する要領や基準などのポイントをまとめた。受注者と発注者、施工管理会社の一人一人が取り組み内容を理解することで工事を円滑化し、設計と工事の品質向上につなげる。
4-youの「4」は四つの施策と四つの行動宣言「休・効・適・話」、建設業の新たな目標である新3K(給与、休暇、希望)+K(かっこいい)の新4Kから取り、4-youは全ての関係者が一体となり「働き方改革のスリム化」を目指しワーク・ライフ・バランスを確保するなど「for you」の思いを込めている。
行動宣言は▽週休2日を原則▽効率化・省力化▽業務のさらなる適正化▽良好な対話を確保-から一文字ずつ取った。
設計図書の品質向上では設計成果品の照査体制を強化し、十分な確認期間を確保した上で、受発注者間で照査を実施する。合同現地踏査も行い、現地の課題などを共有する。照査範囲を超える作業は「工事内容の変更等の補助業務」として取り扱う。
適正な工期設定では週休2日を原則とした適正な工期を確保。工事着手前の準備期間は従前の期間に30日を加算した最新の基準を適用し、書類作成を含む工事完了後の後片付け期間は60日間確保する。工事に影響を及ぼす可能性のある事項は明確にし、受発注者双方で知り得た情報を共有。受注者の責によらない場合の工程変更協議の対象事例も明記した。ワンデーレスポンスやウイークリースタンスも徹底する。
書類作成の軽減に向けては、工期に影響する事案や工事内容の変更などを受発注者双方が発議できる「工事変更等検討会」を導入する。同検討会は試行運用中で、意思決定を迅速化するとともに、作成資料の簡素化を図り、工期の適正化にもつなげる。施工計画書は設計照査の後、工事内容が確定されてから提出するとし、軽微な変更は新たな計画書の作成は不要としている。
休日作業確認願いや工事立ち会い検査願い(予約)など提出頻度の多い書類は週間工程表に集約する。しゅん功検査(竣工検査)は事前に検査項目を通知することで書類準備の省力化する。創意工夫や社会性などの取り組みは最大10項目までに制限する。
施工管理の効率化・省力化では、一定の品質基準を満たすコンクリート配合であれば、試し練りを省略でき、提出書類は必要に応じて提示するとした。鉄筋の引っ張り試験と曲げ試験は不要とした。遠隔立ち会いは積極的に活用し、山間部などの現場条件で通信環境の整備が必要な場合は監督員と発注者で協議することを盛り込んだ。監督員が検査した場合は写真の撮影は不要とした。同社では「ガイドの活用を通して、受発注者間で相互にコミュニケーションをとり、働き方改革と工事円滑化に向けた取り組みを推進する」とし、全ての工事関係者に携帯ツール(電子版・ポケットブック)として活用することを呼び掛けている。
同ガイドは同社ホームページ(https://corp.w-nexco.co.jp/procurement/guideline/pdfs/28-01.pdf。)内で公開している。

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