5バックに変更した意図は? 森保一監督は北朝鮮相手のクリーンシートに一定の手応え「自信になる勝利を掴めた」

北朝鮮戦の勝利を称えた森保一監督[写真:©超ワールドサッカー]

日本代表の森保一監督が、北朝鮮代表戦を振り返った。
【動画】あっという間に決め切った田中碧のダイレクトシュート

21日、2026北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選第3節で日本と北朝鮮が国立競技場で対戦した。

3連勝を収めたい日本は、2017年12月以来、6年ぶりの対戦となる北朝鮮をホームに迎えての一戦。すると開始2分に左サイドを崩すと、最後はシュートのこぼれ球を拾った堂安律のパスを田中碧がダイレクトで決めて先制する。

幸先良くスコアを動かした日本は、堂安や守田英正らがゴールに襲いかかるも追加点を奪えず。GKカン・ジュヒョクの好セーブの前にリードを広げられない。すると後半に入り北朝鮮がギアチェンジ。47分にはネットを揺らされるが、直前のプレーがファウルだとしてゴールは認められず。そこから北朝鮮が押し込み始めるとアジアカップの嫌な思い出が蘇る。

それでも遠藤航を投入して安定させると、終盤には3バックに変更して守り切りながらもカウンターを狙う形に。上田綺世や前田大然がチャンスを迎えるもゴールはやはり生まれず。1-0で逃げ切り、3連勝を収めた。

試合後の記者会見で森保一監督は「前半開始早々に得点を上げられたことがまずは試合を勝ち切る上では非常に大きかったと思います。選手たちが入りの部分から自分たちが積極的に戦っていこうという思いを持って、相手のゴールに向かってというプレーの選択がゴールに繋がったと思います」と、立ち上がりのゴールを称え、アジアカップで課題とされた試合の入りも良かったとした。

また「その後、なかなか追加点を奪えずという厳しい展開の中、特に後半は相手がシンプルにパワーをかけて攻めてくるところで、苦戦する流れではありましたが、厳しい押し込まれた戦いの中でも、粘り強く、無失点に抑えながら、そこでもう1回流れを引き込んでいこうというところが、選手たちも勝ちたいという気持ちと、粘り強く最後まで戦うという気持ちが、勝利に結びついたのかなと思います」と、良い流れとは言えないものの、耐えながら勝利に向かってプレーした選手たちを称えた。

「この試合においては、アジアカップで悔しい結果になったことを受けて、我々が過去の課題を踏まえて戦いに臨むといった部分でも、苦しい時間を耐えてカウンターも仕掛けられましたし、厳しい戦いをモノにするという部分、選手たちが自信を持てる戦いができたかなと思います。できれば追加点を奪うという、強かに試合巧者として結果を掴めるように、また成長していきたいなと思っています」と、成長を少し見せたものの、決定力のなさという課題も改めて浮き彫りになったとした。

後半は相手に押し込まれていく中で、選手を交代させてシステム変更を敢行。狙いについては「相手に押し込まれる、圧力を受ける展開になっていました。さらに、押し込まれる展開になってはいけないということで、フレッシュな選手を投入しようということと、守備を安定させて、その上でカウンター攻撃を仕掛ける、相手が出てきているところにスピードのある浅野を投入することによって、耐えながらも攻撃を仕掛けていくという狙いを持って投入しました」とコメント。谷口彰悟、橋岡大樹にはフレッシュさ、浅野拓磨には右サイドでスピードを生かしてほしいという狙いがあったという。

その交代選手についても森保監督は言及し、「北朝鮮の攻撃、圧力を受けていた時間帯はあったと思いますし、アジアカップでもああいう展開になって最後押し切られてしまったというところがあった中で、長友の投入というよりも、相手の圧力を弾き返す、しっかり受けられる選手を投入して、守備の安定と、そこから攻撃につなげていくというところは代わって入ってくれた選手がやってくれたと思います」と、雰囲気を変えるためにキャラクターの強い長友佑都ではない選択をした理由をコメント。「長友が出て、キャラクターで空気を変えるではなく、チームが勝つために選手たちがチームの戦術と個々の役割と特徴を発揮して、試合を勝ち切れたことを評価していただけたら嬉しいです。長友の存在は今回も非常に大きかったと思いますが、今日も途中から入ってくれた選手が流れをもう一度掴んでくれたことを評価してくれたら、監督としても嬉しいです。選手たちを評価してください」と、長友の存在感を称えながらも、ピッチに立ってしっかりと試合を終えられた選手を褒めて欲しいと願った。

北朝鮮については「北朝鮮の選手たちは非常に個々がハードワークできる、チームとしてやろうとしている戦術を徹底できるということにおいては、本当に素晴らしいチームであり、選手が揃っていると思いました」と印象をコメント。「今日の試合においては、組織的に我々の攻撃を止めながら、よりパワーを持ってカウンター攻撃を仕掛けてくるということは予想していた中で、幸運なことに我々が先制点を早い時間帯に奪えたことで優位に進められましたが、北朝鮮のプレッシャーには簡単に我々が思い描いた攻撃はできなかったので、彼らの粘り強さやGKが何度も好セーブするという集中力が全く切れない粘り強く、最後まで戦い抜けるチームだと思っていました」と、内容を称え、「後半よりパワーを仕掛けてきた展開は、彼らが持っている戦術の部分もハイレベルだと思いますが、パワーで仕掛けてくる戦いは我々にとって非常に厳しい戦いになったと思います。彼らのファイトは非常に素晴らしかったと思っています。次の対戦の時には非常に厳しい戦いが待っているなと思わせてくれる好チームと良い選手が揃っていると思っています」と、難しい相手であることを改めて感じさせられたようだ。

そんな中でもチームは無失点で勝利。アジアカップで失意に終わった中で、一定の自信を取り戻すこともできる結果となった。

「鈴木彩艶、そしてディフェンスラインの選手も含めて、チームとして自信になる勝利を掴めたと思っています」

「アジアカップで失点が多くて、結果を掴み取れなかったというところがあった中で、今日の試合は簡単な試合ではなかったですし、押し込まれて失点してもおかしくないようなシーンを何度も作られながらも、粘り強く守り、無失点で終われたということは、彩艶含めてチームの自信になったと思います」

「私自身は、アジアカップからの反省、課題を受けて、今日の試合に臨んでくれて、選手たちが修正してくれた部分もあると思いますが、まだGK、DFラインとカタールW杯から比べると経験値はまだ低い中で、これまで戦ってきて、一足飛びには安定はなかなか難しいんだなということを1つ1つ厳しい試合の経験を経て、選手たちが確実に成長してくれているなということを結果で示してくれたことが今日の選手たちのプレーだと思います」

「まだまだ改善すべきところはありますし、彼らが厳しい戦いを踏まえて成長することを監督として期待していますし、楽しみにしていきたいと思っています」

ただの勝利ではなく、選手の自信を回復させる勝利にもなった北朝鮮戦。26日にはアウェイの平壌で13年ぶりの試合になるかと思われたが、突如として平壌開催が中止に。明日には中国に向けて出発する予定だったが、予定が大幅に変更となる。

森保監督は「全て決定したことに対して最善の準備をするだけです」と語り、「現実を受け止めて、今後どのような展開になるか分からないですけど、疲労が溜まっている選手、プレーした選手のリカバリーと、次の試合に向けてどうなるか、どこでやるかは分かりませんが、コンディションを上げていくというところを、現実を踏まえて与えられた時間の中で、環境の中でやっていきたいと思います」と、まずは何が起きても良いようにしっかりと準備を整えておくと語るにとどめた。

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