【ビールを通して感じる韓国⑱】~古都の郊外のリゾート地で飲むクラフトビール~ WHASOO BREWERY@慶州

韓国の東南に位置する慶州(경주・Gyeongju・キョンジュ)は、紀元前1世紀から10世紀まで1000年にわたって新羅の都があった場所。貴重な遺跡や文化財が数多く残り、古墳群が独特の景観をつくり出している観光地です。
人口は約25万人。日本でたとえると奈良のイメージに近いと思います。
観光地には最近あまり行かない私ですが、そんな慶州でなければ飲めないクラフトビールがあると知り、先月釜山から日帰りで訪問してきました。

慶州へ

行き方

慶州は、ソウルからKTX(韓国高速鉄道・Korea Train Express)で約2時間、釜山からは約30分ほどの場所にあるエリアです。ただし、KTXの駅は、慶州の中心から車で約20分ほどかかる外れに位置しています。
その後の行動が楽なので、今回私は釜山から高速バスに乗って慶州の中心部にあるバスターミナルへ向かいました。バスは1時間に何本もあり、KTXより時間がかかるとはいえ1時間かからずに到着します。

慶州歴史地域

慶州歴史地域とは慶州周辺の古墳や史跡の総称で、2000年に世界遺産に登録されています。今回訪問したところをいくつかご紹介します。

・大陵苑
慶州は古墳の中に町があるといっても過言ではありません。中でも大陵苑(대릉원・テヌンウォン)は新羅時代の古墳群で、約13万㎡の敷地内に23基の古墳があります。貴重な埋葬品も多く発掘されていて、国立慶州博物館に収蔵されています。街の中にある公園なので、散策するのにもぴったりの場所です。

・瞻星台
瞻星台(첨성대・チョムソンデ)は、7世紀頃に建造され星の動きや月の満ち欠けの観察に使われた天文台です。約1400年間、建てられた当時のままの姿を残していて、東洋最古の天文台とも言われています。使われている石は全部で362個で、これは1年を陰曆で計算してでる日数を象徴しています。

・月精橋
月精橋(월정교・ウォルジョンギョ)は760年に建てられたと言われる韓国で最大規模の木造橋で、三国史記にもその名が記されています。現在の橋は2018年に復元されたものです。

石窟庵・仏国寺

1995年に韓国初の世界遺産として登録されたのが、石窟庵(석굴암・Seokguram・ソックラム)と仏国寺(불국사・Bulguksa・プルグクサ)です。中心部からは、バスに乗ると30分程度で行くことができます。

・仏国寺
新羅時代の朝鮮の仏教文化を代表する仏教寺院です。751年、新羅時代に建立が始まった説が有力です。
境内には美しい石塔の多宝塔など新羅仏教芸術の傑作と称えられる7つの国宝が現存しており、貴重な文化財をたっぷりと味わうことができます

WHASOO BREWERYへ

普門観光団地

さて、今回慶州へ行った私の一番の目的は、やはりクラフトビールです。
目的のWHASOO BREWERYがあるのは、慶州郊外の普門観光団地(보문관광단지・ボムンガァンガァンダンチ)。人口湖の普門湖の周りに国際的なホテルや家族連れ向きのコンドミニアムホテルがズラリと立ち並び、国際会議場や遊園地、博物館、ゴルフ場などのレジャー施設もあります。湖水周辺には散策路も整備されており、特に桜の時期にはとても美しい光景が広がるそうです。

WHASOO BREWERY

WHASOO BREWERYは、もとは2003年に慶州の隣の市である蔚山(울산・Ulsan・ウルサン)にできたブルワリーです。現在は、慶州にも独自の醸造設備を構えています。

醸造設備の隣は広いレストランになっています。

店内からも醸造タンクを見ることができます。

タッチパネルで決済まで…

注文はタッチパネルで。何度経験しても、外国語でのタッチパネルはいつも以上に緊張してしまいます。

最初に選んだのは、ここで造られている경주맥주(慶州麦酒)のヴァイツェン。500mlで8000ウォン(約880円)でした。
ちょっと焦りつつ一杯目を頼んだあとで気がついたのですが、同じビールをそれぞれ390ml、500ml、1000mlから選べるようになっていました。しかも選んだビールはアルコール分7.5%となっていたので、ヴァイツェンボックだったようです。最後に頼むべきでした…

料理は配膳ロボットが…

昼食抜きできたので、ボリュームがあるのは承知でピザも注文。19500ウォン(約2150円)でした。
ビールは普通に店員さんが持ってきてくれましたが、ピザを運んできたのは日本のファミリーレストランなどでも見かけるようになった配膳ロボット。韓国で見たのは初めてです。

ケルシュは、微かにフルーティな香りがありすっきりとした味わい。アルトはホップの苦みがほどよく感じられる、やや飲みごたえのあるビールでした。

この日は釜山に戻らなければならなかったので、1時間半ほど滞在して、ここで醸造している缶ビールの4本セットを買ってお店を後にしました。

*__◎WHASOO BREWERY(慶州)__
所在地:465-67 Bomun-ro, Gyeongju-si, Gyeongsangbuk-do
営業時間:16:30~24:00*

今のところ、慶州でクラフトビールを造っているのはここだけ。次の機会があれば、普門観光団地で宿泊して、ビールをもっとゆっくり楽しんでみたいと思います。

*参考文献:「CRAFT BEER KOREA(KOREAN CRAFT BREWERY GUIDE BOOK 2020)」BEER POST PUBLISHING
*100ウォンを約11円として換算しています
*写真はすべて2024年2月に撮影しています

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