茨城県37施設、料金値上げ 教育6校も 今秋、24年ぶり

利用料金を値上げする主な県施設、授業料を引き上げる教育施設

茨城県は県有37施設の利用料金を今秋にも一斉値上げする。対象は偕楽園(水戸市)やミュージアムパーク県自然博物館(坂東市)など広範囲にわたる。教育施設6校の授業料も2025年度に最大17.5%引き上げる方針。物価高騰を背景に維持管理費の上昇分を受益者負担として回収したい考え。県施設利用料の一斉値上げは24年ぶり。

県が利用料金を徴収している36施設で10月から入場料や入館料、会議室やホール使用料などの値上げに踏み切る。つくば国際会議場大ホールの営利目的使用料金は7月から。産業技術短期大学校(IT短大)や県立笠間陶芸大学校など6校でも、25年4月から年間授業料を引き上げる。

いずれも開会中の県議会定例会で条例改正を提案、可決を経て正式決定する。県によると、県施設の利用料金を一斉に引き上げるのは00年以来。

大人料金で見ると、偕楽園は観梅期間を除き県外客から徴収している入園料について、20円増の320円とする。自然博物館で常設展入館料を70円増の610円とするほか、笠松運動公園ではメインプールの2時間当たり利用料金を70円増の590円にする。

教育施設では、IT短大▽産業技術専門学院▽農業大学校▽看護専門学校▽医療大学▽笠間陶芸大学校-の6校で、年間授業料を2800~2万800円引き上げる。引き上げ率は0.7~17.5%。

値上げは、物価高騰や光熱費などエネルギー価格の上昇が主な要因。県財政課によると、自然博物館の光熱水費は18年度に約5200万円、19年度に4900万円だったものの、22年度は9200万円と大幅に上昇した。

これまで県は、3年ごとに各施設の利用状況や維持管理費などを総点検し、利用料金などの見直しを検討してきた。ただ、長引くデフレを中心とする経済状況を踏まえ、「基本的に各施設の利用料金については引き上げを行わず、据え置いてきた」(同課)としている。

県は県議会での議決を踏まえ、各施設で利用者に値上げについて周知する。同課の担当者は「維持管理費の増加分は受益者負担の考え方に基づき回収したい。光熱水費や物価高騰による影響を理解してほしい」としている。

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