みんつく党代表権争い、大津綾香氏が勝訴 裁判所が示した焦点は「辞める」発言の有効性だった

みんなでつくる党(旧政治家女子48党)の代表権をめぐり、斉藤健一郎参院議員(43)が大津綾香氏(31)を相手取り、代表者変更を証する書面の作成や交付など登記を求めた訴訟の判決で、東京地裁は21日、斉藤氏の請求を棄却した。

前党首で政治団体・NHKから国民を守る党の立花孝志氏(56)は、2023年3月29日に政女党が開いた緊急記者会見で大津氏が「辞める」と、代表を辞任する旨の発言をしたと主張。代表権訴訟は、大津氏の発言の有効性が焦点となっていた。

判決で笹本哲朗裁判長は、大津氏が代表権のない党首を続ける代わりに月100万円の給与を支払う提案を立花氏から受けた際「提案の内容を書面にしておきたい」と発言していると指摘。「当該書面の作成もなく、無条件で代表を辞任する意思表示をしたと認めることはできない」とした。

また、大津氏を解任した2023年4月6日の党役員会が役員半数の招集を欠き、党規約で役員会決議で党首を解任できないと指摘。斉藤氏を代表に選んだ同年5月10日の党総会も「党首の選任手続についての規定すらも欠いている」など断じた。

当初、控訴しないとしていた立花氏は「党の破産が、(大津氏が)抗告をしているために万が一、覆る可能性がある。影響が出るのは債権者。控訴はするかしないかで言われたら、する方向で動きます。債権者が控訴しろという話になれば、そっちの方を優先すべき」と一転、控訴する意向を示した。

会見に同席したNHKから国民を守る党の丸山穂高副党首(40)は「向こうも抗告しているので、法的に対応するために控訴する。それだけの理由」と説明。斉藤氏は、党が約11億円の負債を抱え破産したことを踏まえ「意思を持って借金を背負い、返していくんだという意思にもとれる。大津氏は、債権者の方々にしっかり向き合ってほしい」と述べた。

立花氏は「新たな国政政党をつくるべく、来年夏の参議院選挙後には国政政党として返り咲く」と、政治団体・NHKから国民を守る党を2024年の参院選で政党要件を満たすと強調。大津氏らを〝在庫一掃処分〟したとして「大津さんありがとう!本当に負け惜しみでなく、そう思っているんです」と笑顔を見せていた。

一方、大津氏は「立花孝志氏、齊藤健一郎氏は、これまで『一審敗訴の場合には控訴しない』との意向を表明しておりましたので、この判決を以て、本党の代表権に関する争いに終止符が打たれるものと期待しております」などとの声明を出した。代理人の豊田賢治弁護士(52)は「妥当というか、穏当な判決。負ける可能性はないと思っていた」とコメントした。

(よろず~ニュース・杉田 康人)

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