【おんなの目】ウイリアム・モリス

 私の六畳の部屋は雑然としている。この部屋で大半のことができるようにしてあるので物が多い。バッグも靴下も掃除用具もある。ベッドも。雨の日には洗濯物の干場にもなる。中で一番場を占めているのは本である。友人から貰ったり、古本屋の割引セールで購入したり、催し物で買った本がいっぱい積み重なっている。時には新刊も買う。(新刊は良い匂いがする)。大半が積読。どこに何があるかわからない。どうにかしなければならない。

 野の花の間に実をつけた赤い苺、それを小鳥が啄んでいる。モリスだ!

 A店でモリスのインテリアシートを見つけすぐに十枚買った。私はモリスの描く草花の連続模様のデザインが好きで、似せた柄の服を着て歩いている。ウイリアム・モリス(一八三四~一八九六・英・室内装飾デザイナー、社会活動家、詩人)。

 七個の段ボール箱に、優雅なカーブの蔦や可憐な花々が咲き、虫や小鳥が遊ぶモリスのインテリアシートを貼った。部屋が英国の田舎の野原になった。ああ、きれい。風も吹く。

 箱を自由に重ねて本を入れた。背表紙が並び見つけやすくなった。もっと貼ろう。靴下を入れる箱、ゴミ箱にも。眼鏡ケースにはモリスのシールだ。毎日、モリスの部屋で寝て目覚めている。幸せ。

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