自動運転技術に用いられる地理の3次元データを提供するダイナミックマッププラットフォームは15日、ハッカソンの表彰式を都内の本社で開いた。大学・大学院・高専の9校10チームの中から各部門で最優秀賞が選ばれ、吉村修一社長は「参加者のレベルがあがっている。賞に届かなくても一緒にビジネスをしたいと思うチームが多かった」と賞賛した。
ハッカソンとはハック(ソフトウェアなどの開発)とマラソンをかけた造語。複数のチームが一定期間にわたってテーマに沿った開発に取り組んで、成果物の評価で優勝者を決める催しだ。
同社は2022年からハッカソンを開催しており、3回目の今年は横浜市みなとみらい地区の地理情報を詳細にデジタル化した「高精度3次元地図データ(HDマップ)」を使ったアイデアを競うアイデアソンと、アイデアを実現するための技術を競うハッカソンが約1カ月にわたり行われた。
アイデアソン最優秀賞は、特定の場所や物を識別できるようにするデジタル技術「空間ID」と、現実空間と仮想空間を融合させる「MR(複合現実)技術」を組み合わせて健康増進に役立てるアイデアをまとめた「1D(ワンディー)」が受賞した。チームの代表で法政大学デザイン工学部都市環境デザイン工学科の直井友希さんは「3回目の挑戦で初めての受賞です」とよろこびを語った。
ハッカソンの最優秀賞には、視覚障害者が危険なエリアに立ち入らないよう注意を促すシステムを開発した「チームサイコ」が輝いた。運用に用いる機器をローコストで製作できる計画性も高く評価された。代表の法大大学院デザイン工学研究科都市環境工学デザイン専攻の浅野達海さんは「同期5人のチームで最高の結果を残せて本当にうれしい」と笑顔を見せた。
また、テーマのとらえ方が斬新だったとしてカナダ・ウォータールー大学の学生チーム「Honk Hackers」にビジネスインキュベーションアワード(特別賞)が贈られた。
同社の執行役員で技術部門を統括する福田譲氏は「普段使わないであろうHDマップや(地形や建物を大量の点で記録した)点群データを学生らが使いこなしていた。ゲームエンジンを活用したチームもあり、技術と知識が急速に進化しているのを感じる」と驚きをあらわにし、若い世代に期待したいと語った。受賞したチームは以下の通り。
■ハッカソン
最優秀賞「チームサイコ」(法大大学院)
優秀賞「ドクターペッパーランチ」(法大大学院、九州工業大学大学院)
特別賞「Honk Hackers」(カナダ・ウォータールー大)
■アイデアソン
最優秀賞「1D」(法大)
優秀賞「津軽海峡越えし者」(小樽商科大学、函館工業高等専門学校)
(ダイナミックマッププラットフォームのホームページ https://www.dynamic-maps.co.jp/news/2024/0321.html)