新NISAを始める前に知っておきたい!投資商品を選ぶときに大事な5つのこと

(※写真はイメージです/PIXTA)

初めて投資信託を始める際、いったいどんなことを知っておけばいいのでしょうか? 経済アナリストの森永康平氏による著書『新NISA対応版 いちばんカンタンつみたて投資の教科書』には、初心者向けの投資信託の選び方がまとめられています。それでは、投資商品を選ぶときに大事なことについてみていきましょう。

制度の対象になっているものを選ぶ

実践的な話を聞きたい方のために、具体的な投資商品の選び方を解説していきます。

ネット証券であれば2,600本以上の投資信託が買えます。とても便利な時代になった一方で、選択肢が増えすぎて何を買えばいいのかわからないという悩みを持つ方もいるでしょう。

そこでまずは、どういう視点で商品を選べばいいのかということから見ていきます。

初めにお伝えしたいのが、選択肢を一気に10分の1に絞り込む方法です。本書はつみたて投資がテーマですから、新NISAのつみたて投資枠の対象になっている投資信託を選べばいい。ただそれだけです。

つみたて投資枠の対象となる投資信託は、旧つみたてNISAの対象商品が引き継がれており、その本数は、2023年10月時点でおよそ250本程度です。

つまり、つみたて投資枠の対象になっているものから選ぶという方針だけで、ネット証券で買える2,600本以上の投資信託のうち、10分の1以下の250本程度まで絞り込むことができます。

手数料が低いものを選ぶ

次に手数料が低いものを選ぶようにしましょう。投資信託には主に3つの手数料があることはすでに説明しました。①購入時に発生する「買付手数料」、②保有している間に発生する「信託報酬」、③「売却時に発生する「信託財産留保額」です。

まず、①の買付手数料ですが、最近は一切かからない投資信託が増えており、そのような投資信託はノーロードと呼ばれます。

すでに数多くのノーロードの投資信託が世に出ていますので、その中から選ぶようにしましょう。

次に②の信託報酬です。これは数値自体はそれほど大きくなく、保有期間中にジワジワと差し引かれる手数料ですが、長期保有が前提となるつみたて投資では無視できない手数料です。

信託報酬が1%違った場合の資産総額の推移をシミュレーションすると、たかだか1%しか違いはなくとも、長期で保有するほどその差が大きくなります。どちらを選べばいいかは言うまでもありません。

そして、③の信託財産留保額ですが、こちらも一切かからない投資信託が数多くあるので、その中から選ぶようにしましょう。

ちなみに、先程つみたて投資枠の対象商品の中から選びましょうと書きましたが、つみたて投資枠の対象商品となるインデックスファンドには、さまざまな要件が設定されています。

そのうち、手数料については、①ノーロードであること、②投資対象が国内資産であれば信託報酬は0.5%以下(税抜き)、海外資産であれば0.75%以下(税抜き)と決められています。

信託財産留保額については要件がありませんが、つみたて投資枠の対象商品となっているインデックスファンドで信託財産留保額は設定されていないものも少なくありませんので、それほど気にする必要はないかもしれません。

純資産総額で選ぶ

純資産総額が大きい投資信託に注目してみましょう。

簡単に言うと、純資産総額とはその投資信託に集まっている投資家のお金の総額と言えます。ある程度の純資産がないと安定して分散投資ができなくなる可能性があります。

また、純資産総額が多くなればなるほど、その投資信託から得られる手数料の額が大きくなるわけですから、将来的には手数料率を下げてくれるかもしれませんし、投資信託を運用する運用会社が最低限の情報公開以外にも、イベントをやってくれたり、資料も見やすくなるなどのメリットも生じる場合があります。

純資産総額は具体的にいくら以上じゃないといけません、ということはありませんが、1つの目安として100億円以上という基準で探してみるといいでしょう。

また、直近6ヶ月ぐらいの純資産総額の推移にも注目しましょう。仮に純資産総額が大きかったとしても、毎月資金が流出しているような投資信託は避けるべきです。

投資対象の値段が下がっていくのと連動して純資産総額が減っているのであればいいですが、そうではないのなら、何か理由があって資金が流出しているということになります。

これまでの運用実績で選ぶ

インデックスファンドを選ぶ場合、似たような投資信託が多くて悩むという方もいるでしょう。

たとえば、日経平均株価に連動するインデックスファンドというのは、多くの運用会社が提供しています。どれも日経平均株価に連動するように運用しているわけですから、基本的にはパフォーマンスは同じになるはずです。

しかし、公開されているデータを見てみると、ファンドごとにインデックスの動きから少しだけ乖離しています。これをトラッキング・エラーと言いますが、この数字が大きくなればなるほど、連動させようとしているインデックスの動きに沿った運用ができていないということになります。

運用スタイルで選ぶ

最後は運用スタイルで選びましょう。

これまでにも説明した通り、投資信託には大きく分けてインデックス型とアクティブ型の2種類があります。基本的にはインデックス型を選ぶようにしましょう。

日経平均株価は過去20年間の年間騰落率を平均すると5%にも満たないのに対して、アクティブファンドであれば運用がうまくいけば10%や20%のリターンは期待できます。

ただ、その逆も起こり得ます。また、手数料もインデックスファンドより高くなる傾向にあります。コツコツと積み立てて老後資産を形成するのであれば、インデックスファンドだけで十分でしょう。

森永 康平

金融教育ベンチャーの株式会社マネネCEO/経済アナリスト

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