「相手の罠にはまった」北朝鮮戦の後半、日本代表に何が起きていたのか。選手たちが証言した“激変”の理由「蹴らなくていいのに...」

[W杯予選]日本 1-0 北朝鮮/3月21日/国立競技場

日本代表は3月21日に国立競技場で行なわれた北中米ワールドカップ・アジア2次予選で北朝鮮と対戦し、1-0で辛勝した。

開始2分に田中碧のゴ―ルで先制した森保ジャパンは、その後も一方的に押し込んだものの、追加点が奪えない。

すると後半、ロングボールを蹴り込んでくる相手に押し込まれる。最後は5バックにして何とか守りきったものの、まるで1-2で敗れたアジアカップ準々決勝のイラン戦を想起させるような展開となった。

【PHOTO】日本代表の北朝鮮戦出場16選手&監督の採点・寸評。及第点を上回ったのは4人、最高点は決勝弾の田中碧
なぜ前半と後半で、別のチームのように内容が変わってしまったのか。右サイドハーフで先発した堂安律は「後半は相手の監督が喝を入れたのか、目の色を変えて戦ってきた。ロングボールが増えた」と敵の変化に言及しつつ、日本側の問題をこう話している。

「自分たちが(アジア杯よりも)進歩して、奪った後に縦パスをつけようという意図はあって、縦パスを狙って崩していこうというのがあった。ただ、相手は対人に強い。縦パスを入れなくても(右SBの菅原)由勢のところで前半は起点を作れてたんで、もっとそれを徹底的に後半にやってみてもよかった。それを無理矢理、縦パスをやっていこうっていうのを意識しすぎて。そうじゃなくて、やっぱり相手を見ながら、前半それで(上手く)いったんなら、もっと後半それを徹底してやるべきだと思うし、相手のやり方にはまっちゃった」

奇しくもイラン戦の反省に取り組もうとする意識が強すぎたことが、マイナスに働いてしまったようだ。10番を背負うMFは「アジアカップの反省をスタッフとチームで話して、なぜイラン戦でボールを回せなかったのか。縦パスを入れなかったのでそこに選手が立てなかったっていうのがあった」と続けている。

「前半そういう意識した中でやってましたけど、ただ俺がフリーランニングをすると相手のサイドバックがついてくるんで、そこに空いたスペースを由勢が結構狙ってたんで、縦パス入れなくてもそこで起点が作れるなら、それでも良かったかな。(縦パスの)意識が少し強すぎて、後半それを狙ったおかげで、相手の罠にはまっちゃった。(もっと)賢くクレバーにできたかな」

この一戦で攻守に躍動したボランチの田中碧は、「後半、まだまだ繋げる部分があったとすごく感じる。蹴らなくていいのに蹴ったりだとか、少し距離が遠くなって繋げなくなったりとか」と課題を指摘する。

「個人的な技術ミスや判断ミスなら個人個人が反省するものなので、全然いいと思うんですけど、蹴ってしまう部分は、一歩二歩動いたり、声を出してパスコースを見つけてもらうことで、まだまだ(改善)できるのかなと思うんで、そこはもっとやらなきゃいけないところかなと」

ただ、アジア杯との大きな違いは、最後は最終ラインを5枚にし、失点をせずに勝った点だ。カタールでの苦い敗戦が生かされたと言えるだろう。

取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部)

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