水俣病特措法訴訟 鹿児島・熊本の原告全員の請求棄却 熊本地裁

「不当判決」と書かれた紙を掲げる弁護士ら=22日午前11時4分、熊本市の熊本地裁前

 水俣病特別措置法に基づく救済の対象から外れた鹿児島、熊本両県在住者ら144人が国と熊本県、原因企業チッソに1人当たり450万円の損害賠償を求めた集団訴訟(熊本訴訟)の判決で、熊本地裁(品川英基裁判長)は22日、原告全員の請求を棄却した。

 特措法の救済対象外とされた計1700人超の原告が全国で起こした集団訴訟で2件目の判決。昨年9月の大阪地裁判決は原告全員を水俣病と認めて賠償を命じており、今回の司法判断が注目されていた。

 2009年施行の同法は、水俣病認定患者でなくても、手足のしびれなど一定の症状があれば一時金の支給などを定めた。しかし居住地域や出生年などで対象を線引きするなどしたため、原告側は不当と訴えていた。

 熊本訴訟の原告は51〜100歳の男女1400人で、半数以上が出水市や長島町など鹿児島県内に暮らす。今回の判決の対象は原告の1、2陣。不知火海(八代海)周辺で生まれ育ち、チッソが排出したメチル水銀に汚染された魚介類を日常的に食べ、水俣病を発症したと主張した。

裁判所に入る原告ら=22日午前、熊本市の熊本地裁前

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