十分一山ワイン完成、まろやかすっきり 南陽で発表会、地元高校生がラベル考案

関係者がお披露目した十分一山ワイン2023=南陽市えくぼプラザ

 ブドウ栽培が盛んだった南陽市赤湯の十分一山(じゅうぶいちやま)の耕作放棄地解消を目指す市などのプロジェクトで、昨秋に収穫したブドウを使ったワイン「十分一山ワイン2023」が完成し21日、同市えくぼプラザで発表会が開かれた。3度目の完成となる本年度はブドウの収穫量が多く、昨年度より100本ほど多い約300本のワインを用意した。まろやかな甘みとすっきりした味わいに仕上がっている。

 十分一山でのブドウ栽培は1923(大正12)年に始まったが、急傾斜地での作業の困難さなどを理由に離農する農家が多くなっていた。プロジェクトは2019年度にスタート。斜面の一角に整備した約15アールの実験圃場にマスカットベーリーAやメルロー、シャルドネ、カベルネソービニオンの4種類計96本の苗木を植え、21年から毎年収穫してきた。

 ブドウの木の成長に伴い本年度は昨年度の倍以上の約350キロを収穫した。ワインはメルローを基軸に4種類のブドウを原料とし、市内の「佐藤ぶどう酒」が製造した。ラベルのデザインは南陽高美術部2年の高橋陽希(はるき)さん(16)が考え、南陽市の形を逆さにし、ブドウの葉と竜の顔をイメージした。

 発表会には関係者約20人が出席し、白岩孝夫市長が「耕作放棄地からの復活、再生を象徴するワインとなることを確信している」とあいさつ。試飲では「飲みやすい」「酸味と甘みのバランスが取れている」など好評の声が聞かれた。22日から市内の結城酒店で販売し、750ミリリットル入りで2530円。

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