水俣訴訟、救済対象外の請求棄却 典型症状主張144人、熊本地裁

水俣病特別措置法に基づく救済策で対象外となった人たちが国などに損害賠償を求めた訴訟の熊本地裁判決で、「不当判決」を訴える原告側の弁護士ら=22日午前、熊本市

 2009年施行の水俣病特別措置法に基づく救済策の対象外となった144人が水俣病の典型的症状を訴え、国と熊本県、原因企業チッソに損害賠償を求めた訴訟の判決で、熊本地裁(品川英基裁判長)は22日、請求を棄却した。同種訴訟は全国4地裁に提起され、原告全員を水俣病と認めて国などに賠償を命じた大阪地裁に続き2件目の判決。

 特措法は原則、メチル水銀の排出が停止された翌年の1969年までに生まれ、不知火海(八代海)に面する熊本、鹿児島両県の9市町の沿岸部などに居住歴がある人に対象を限定。約2年で申請を締め切った。対象者は一時金210万円などを受け取った。

 訴状などによると、原告は不知火海の魚介類を摂取し感覚障害などを患い、水俣病に罹患したとしている。居住歴や出生年の線引きで対象外とされたのは不当だと主張。特措法を知らず、申請期限に間に合わなかった人も原告に含まれる。

 今回の判決の対象は、熊本訴訟の原告1400人のうち第1、2陣。東京、新潟、大阪の各地裁を合わせた全原告は計1700人を超える。

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