「虎に翼」ヒロイン・伊藤沙莉、視聴者のSNSの反応に緊張も「自分を奮い立たせる原動力になる」

NHK総合ほかで4月1日にスタートする連続テレビ小説「虎に翼」(月~土曜午前8:00ほか)の放送前出演者会見が行われ、ヒロイン・猪爪寅子を演じる伊藤沙莉のほか、寅子の両親役を務める石田ゆり子岡部たかしが出席した。

「虎に翼」は、日本初の女性弁護士・三淵嘉子さんをモデルにした物語。日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ1人の女性の実話に基づく骨太なストーリーを追いながら、事件や裁判が解決されていく爽快感を味わえる本作は、同局の「恋せぬふたり」で第40回向田邦子賞を受賞した吉田恵里香氏が脚本を手掛けるオリジナルストーリーとなっている。

第1週を見た感想を問われた伊藤は、「本当にテンポがよくって、猪爪家の楽しい雰囲気も伝わってきて、何かいい出だしというか、すごく気持ちのいいスタートが切れたんじゃないかと思いました。そして2週目に向けて、法律と出合うっていうところも含めて、続きがすごく気になるんです。これから見続けていこうと思っていただけるものになっているんじゃないかなと思っております。1週目を見て、今後がより楽しみだなって思えたので、すごくうれしかったです」と手応えを伝えた。

寅子の母・猪爪はる役の石田も「実はもう2週目まで見たんですが、とても素晴らしいドラマで、沙莉ちゃんが演じる寅子がチャーミングでかわいくて。毎日のように撮影しているのですが、彼女のお母さん役をできることがとても幸せです。法律をテーマにしている朝ドラといういうのは珍しいですし、新鮮な切り口でいろんな方に楽しんでいただけると思います」と自信を見せる。

そして、寅子の父・猪爪直言役の岡部は「冒頭、寅子が河原で憲法14条を読んでいるシーンから始まるんですが、後ろ姿で表情は見えないのですが、自分が出演しているからなのか、すでにグッとくるものがあって。表情は見えなくても寅子が闘ってきたもの、信じてきたものが見えるというか。そこからつながる尾野真千子さんのナレーションも素晴らしくて、冒頭から心をつかまれました」と作品への思い入れの深さをにじませた。

また、いよいよ放送を目前に控え、撮影を進める中での心情の変化について語った伊藤。「最初は『これでいいのかな?』と不安に思うこともありましたが、1週目を見た後、『面白い! これで進めばいいんだ』とあらためて自信を持つことができました。放送が始まり、さまざまな反応が寄せられることを考えると緊張しますが、それもまた、自分を奮い立たせる原動力になると感じています」と、撮影から得た自信を述べた。

さらに、石田が「暑い夏の終わりに撮影がスタートし、いよいよ放送が始まる今は、まさにわが子を世に送り出すような気持ちです。これまでこんなに長いスパンで撮影する作品に携わったことがなくて、朝ドラの歴史を感じています。ドラマは法律を扱っていて、現代の日本にもマッチしていると思います。変わりゆくこの時代に、どのように受け止められるかが楽しみです」、岡部も「本当に楽しく作った作品なので、それが視聴者に伝わればと思います。第1週を見て絶対に届くはずだと思えましたし、ワクワクする気持ちが大きいです」と初回放送を前に、期待感が高まっている様子。

第1週の猪爪家の撮影で印象的だったことを尋ねられると、伊藤は「最初、猪爪家だけでリハーサルしたり、本読みしていたんですが、もう、その時点で印象的だった」と振り返り、「特に(川上周作が演じる)お兄ちゃん(猪爪直道)のキャラクター作りがさすがだなって思ったり。脚本の吉田さんから授かった耳に残る口癖がいくつかあるんですが、それをキラーワードのように扱っていて、素晴らしいんです。『何この人?』と思われちゃうかもしれないですが、猪爪家の楽しい雰囲気の中で欠かせない存在。ここには居ませんが、お兄ちゃんのことも忘れずに愛していただきたいです」と直道のキャラクターについて言及した。

石田は「家族で一緒にご飯を食べるシーンが多くて、そのたびにご飯がものすごくおいしいんです。私が演じるはるさんが作った設定になってるんですが、実際にはもちろん作っていただいていて(笑)。そんなおいしいご飯を一緒に食べるシーンを何度も撮影しているうちに、本当に家族みたいな感じになってきたんです。それがすごく印象に残ってます」と、食事シーンが幸せな時間となっていることを報告。

岡部は、現場でのアドリブについて触れ、「僕ら、割とアドリブでやってるところがあって、それがすごくいい雰囲気をつくっていたんですよ。カットされることもあるんですけど、そのアドリブが生んだ化学反応みたいなものが、撮影現場全体を和ませていた気がします。お互いを信じて演じることができたのは、そういう部分が大きいんじゃないかなと思います」と、撮影現場での和気あいあいとした雰囲気に触れた。加えて「僕もご飯のことを言うと、これまでちゃんとお箸の持ち方を習ってこなかったんですが、ゆり子さんに、この年になって初めてちゃんとした箸の持ち方を教えてもらって、とても幸せでした」とエピソードを披露。

伊藤は、石田と岡部との共演について、「撮影を通じて、お二人から、本当に愛情深く支えられていると感じていて、伸び伸び演じさせてもらっています。特に寅子が『お見合いを今度こそやってみる』というシーンでは、普段は岡部さんのアドリブが多いのところ、そこではゆり子さんから抱きつき始めて、その時のお二人の自然なやりとりがとてもかわいかったんです。この2人の子どもだったら、温かく幸せに暮らせるだろうなと思えて、本当の自分の両親のような気持ちで演じています」と、2人の姿が寅子としての役づくりに影響を与えていると明言した。

対して、石田は、伊藤の魅力を「夢と希望が詰まった弾むボールのような存在」と称し、「彼女から直球で投げられるエネルギーが、周りをポジティブに変えていく力を持っています。私も彼女からたくさんの力をもらいました。これまで演じてきた母親役の中でも、一番厳しい母親役を演じていますが、沙莉ちゃんと岡部さんとのシーンを演じる中で、自然と役柄が出来上がっていて、幸せな時間をたくさん過ごさせていただきました」とコメント。

役づくりに関して、岡部は「初めて沙莉ちゃんを見た時から、すごくかっこいいなと思っているんですが、本当にいろいろな表情を持っていて、それぞれが非常に魅力的。第1週を見ても、本当に多彩な表情がありました」と、伊藤の多面的な魅力を絶賛した。

そんな2人の発言に、伊藤は「演じる上で、特に1週目では、どういう行動を取るべきか、どう設定したらいいのか本当にいろいろと悩みながら、体当たりで挑みました。チーフディレクターの梛川(善郎)さんが、常に全力で演出してくださる方で。時には1人でシーンを落語のように演じてくださって、どのテンションでいけばいいのかと示してくれました。そのおかげで、撮影は非常にやりやすかったです。私は自分から積極的に仕掛けるタイプではないので、周りからの影響に素直に反応しているうちに、自然といろいろな表情が生まれました」と、周囲の協力の上で、いろいろな表情が引き出されていることを明かした。

寅子は大正3年生まれの設定。「女性は無能力者」「女学校に在学中に結婚を決める」など、女性の立場が現在とは大きく異なることに「驚きの連続だった」という伊藤。「現代では当たり前に感じることも、設定上の時代背景ではそうではなく、『なぜそうなの?』という疑問が生じます。その気持ちを寅子は『はて?』というセリフで表現しているのですが、それはまさに現代的な反応で、私自身も虎子の『はて?』(疑問)にとても共感しています。それは、ただの疑問ではなく、当時の社会に対する深い問いかけを表しているんです」と、キャラクターを通じて感じた時代の違和感と、自身の思いがリンクしていると話した。

第1回放送時、どのように視聴するかという質問に、伊藤は「SNSを開いて、『#虎に翼』で検索しながら、テレビの前で待機します。放送を見届けた後は、ある程度エゴサ(エゴサ―チ)して、その後リハーサルに向かいます」と、視聴者の反応が気になるよう。

岡部は「初回のオンエアがある夜は、笑福亭鶴瓶さんの『鶴瓶の家族に乾杯』(月曜午後7:57)にも出演しているので、勝手に“たかし祭り”って言っているんです。なので、祭りにふさわしい格好をして、テレビの前に1日いたいと思います」とユーモアたっぷりに回答。「絶対うそでしょ!」と伊藤からツッコまれると、「いや、でも、ワクワクしていると思います。“祭り”に合わせた服装として、はっぴを着たりして(笑)」とふざけながらも、初回放送を心待ちにしていることをあらためて主張。

そんな2人の回答の後、最後に答えることになった石田は「私も必ずオンエアで見たいです! お風呂に入って、身を清めて、窓を開けて風通しをよくして、最高の状態になった自分で見たいですね」と、気持ちも体も整えてから初回放送を視聴することを宣言した。

© 株式会社東京ニュース通信社