中国とロシアがアムールトラの保護研究所を共同設立

中国とロシアがアムールトラの保護研究所を共同設立

14日、「中ロアムールトラ保護・回復研究共同実験室」のプレート除幕式に参加した関係者ら。(ハルビン=新華社配信)

 【新華社ハルビン3月22日】中国黒竜江省ハルビン市の東北林業大学にこのほど、絶滅危惧種の東北虎(アムールトラ)を保護する中国とロシアの共同研究所「中ロアムールトラ保護・回復研究共同実験室」が設立された。関係者は両国がアムールトラと東北豹(アムールヒョウ)の研究保護を共同実施する上で重要な出来事との見方を示した。

 アムールトラは主にロシア極東と中国東北部に分布している。統計によると、20世紀末時点で中国国内に生息する野生の個体はわずか10頭余りだった。自然林保護プロジェクトや自然保護地体系の構築が進む中、中国の研究者は、ここ数年観察を続けている野生個体群に少なくとも20頭の子どもがいるのを確認した。ただ、近親交配による免疫低下や個体群の衰退が種の維持と発展を脅かしている。  

中国とロシアがアムールトラの保護研究所を共同設立

14日、「中ロアムールトラ保護・回復研究共同実験室」のプレート除幕式で発言する国際動物学会の劉明(りゅう・めい)副研究員。(ハルビン=新華社配信)

 国際動物学会の劉明(りゅう・めい)副研究員は「アムールトラは頻繁に中ロ国境をまたいで活動しているので、1国だけで監視や保護を行うには限界があり、国境を越えた協力が非常に重要だ。生息地の喪失や密猟、人間との接触、気候変動など多くの課題に直面している」と訴えた。

 中ロ両国は2010年に「中ロアムールトラ・アムールヒョウ越境保護」協力協定に調印している。今回設立された実験室は東北林業大学と中国国家林業・草原局ネコ科動物研究センター、ロシア科学アカデミー・セベルツォフ生態学進化問題研究所で構成され、両国の専門家20人余りが参加する。研究分野は野生動物の生態と管理、アムールトラの飼育・繁殖、野生動物の遺伝学、感染症の監視など多岐にわたる。

中国とロシアがアムールトラの保護研究所を共同設立

14日、「中ロアムールトラ保護・回復研究共同実験室」のプレート除幕式で学術報告を行う専門家委員会主任・東北林業大学教授の姜広順(きょう・こうじゅん)氏。(ハルビン=新華社配信)

 実験室の専門家委員会主任を務める東北林業大学の姜広順(きょう・こうじゅん)教授によると、今後は絶滅危惧動物の保護研究を行う国際チームを立ち上げ、アムールトラ保護に関する両国間の理論・技術交流を一層深め、データ共有を促進するほか、アムールトラ、アムールヒョウの遺伝子バンク設立、感染症の監視、アムールトラの子どもの行動や発育に関する研究、人間とトラの意図しない接触の防止と管理などで協力していく計画だという。(記者/楊思琪)

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